相次ぐ辞退、無観客リンク… 緊急事態下、異例ずくめのスケート国体

緊急事態宣言下の愛知、岐阜両県で行われた冬季国体スケート・アイスホッケー競技会。各会場で感染予防策が徹底された(岐阜県提供、写真はコラージュ)
緊急事態宣言下の愛知、岐阜両県で行われた冬季国体スケート・アイスホッケー競技会。各会場で感染予防策が徹底された(岐阜県提供、写真はコラージュ)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言下の愛知、岐阜両県で、1月27~31日に行われた冬季国体スケート・アイスホッケー競技会。史上初めて無観客による開催となったほか、参加表明していた43都道府県のうち、11県が選手団派遣を見送り、5.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言下の愛知、岐阜両県で、1月27~31日に行われた冬季国体スケート・アイスホッケー競技会。史上初めて無観客による開催となったほか、参加表明していた43都道府県のうち、11県が選手団派遣を見送り、5県が一部競技を棄権。青森県もスピードスケート成年で選手と監督の計8人が出場を辞退した。厳戒態勢の大会は、関係者の懸命な努力で無事に幕を閉じたものの、選手らは経験したことのない異例の5日間を闘った。[br][br] 感染予防策が徹底された各会場では検温や手指消毒はもちろん、関係者の入場も一部に制限された。会場隅には行き場を失ったプログラムが山積みにされ、ガランとしたリンクには声援に代わり、選手たちが氷をかく音が響いた。[br][br] スピード会場は岐阜県恵那市で、屋外リンクのため敷地外からレースを観戦する人たちが散見された。緊張感が最も高まったのは競技最終日の31日朝。選手団の中に体調不良者が出て、スタッフの動きが一気に慌ただしくなった。[br][br] その後、医師の診断で新型コロナの疑いではないことが分かり、競技は30分遅れで開始されたものの、レース前の選手に動揺を広げた。青森県の成年男子の選手は「感染が疑われた関係者の近くに居た時もあった。そこで感染しているかもしれないし、逆に知らないうちに自分がうつしているかもしれない」と不安を抱いたという。[br][br] アイスホッケーは愛知県が会場で少年が豊橋市、成年が長久手市で実施された。1試合ごとにベンチやオフィシャルボックス、ペナルティーボックスの消毒作業が行われた。[br][br] 新型コロナの影響が色濃かったのが成年。26チーム中9チームが棄権し、千葉県代表の入ったブロックは7チーム中6チームが辞退したため、1試合もせずに準決勝に進出する“珍事”もあった。[br][br] 八戸市出身で千葉県代表としてプレーした坂本之麿選手(24)は「試合がなくなっていきなり準決勝からのスタート。本当に大会をやっているのか不思議だった」とモチベーションの維持に苦労。準決勝は敗れたものの、3位決定戦に勝利し、千葉県史上最高の結果となったが「こんな形での3位。いろいろな意見もいただいた」と複雑な心境を明かした。[br][br] フィギュアが行われたのは愛知県の中でも最も人口が密集する名古屋市だった。青森県選手のコーチは「選手の控室は分けられていて、コーチも入室できなかった。本番前に直接会話もできないため、アドバイスは携帯電話でしていた」と舞台裏を明かした。[br][br] 国体会場でなじみの光景となっている“おもてなし”も一切なく、「いつもなら昼食がいらないほど、地元の名物が振る舞われるが、今回は物静かで本当に国体なのかと思うくらい寂しかった」と振り返った。緊急事態宣言下の愛知、岐阜両県で行われた冬季国体スケート・アイスホッケー競技会。各会場で感染予防策が徹底された(岐阜県提供、写真はコラージュ)