青森県は2日、食用米の新品種「青系196号」を新たな主力品種候補に選定したと発表した。「コシヒカリ」「ひとめぼれ」の流れをくみ、食味は良好で柔らかく粘りがあり、いもち病や耐冷性・耐暑性に強いのが特長。県内の広範囲で作付けが可能で、県産の主力米「まっしぐら」「つがるロマン」や、ブランド米「青天の霹靂(へきれき)」に続く主力品種に育てて、県産米全体の販売力強化を図る考えだ。名称は今後決定する。県は21、22年度に生産用の種子を増やし、23年度の作付け開始と市場デビューを目指す。[br][br] 同日の定例会見で三村申吾知事が明らかにした。 新品種の開発は、近年の高温傾向に応じた米の生産体制整備が狙い。暑さに弱いつがるロマンの品質低下が目立ち、生産量の落ち込みが懸念されるため、当初は県内全域で栽培可能な代替品種として開発が進められてきた。[br][br] 県産業技術センター農林総合研究所(黒石市)が09年度から交配を行い、最終候補の2品種から県が絞り込んだ。まっしぐらのほか、全国展開する家庭用向けのコシヒカリやひとめぼれなどの系統を継いでいる。[br][br] 生産面の特長では、倒伏しにくく、高温で米粒にひびが入る「胴割れ」の発生が少ないほか、耐冷性を備えるなど気候の変化に強い。収量はまっしぐらよりやや劣る。[br][br] 選定の参考とした日本穀物検定協会(東京)の食味試験では、19年産の新品種と複数産地のコシヒカリブレンド米と比較し、外観、味、粘りは「優る」、香りは「並~やや優る」、硬さは「柔らかい」で、総合評価は「優る」だった。[br][br] 今年1月末の県主要農作物品種育成懇談会で、新品種を「県の認定品種にすべき」と決定。今後、県内の気象条件に適合し、作付けを奨励すべき優良な品種と認められれば、奨励品種に格上げされる。[br][br] 県は今後、栽培試験を行い、生産に適した地域を調査する。新品種の味はつがるロマンの固定客が好むさっぱりな味わいと異なるため、県は代替品種と位置づけず、新たな主力品種に加える形で販売していく。[br][br] 一足早く新品種を試食した三村知事は会見で「(米粒は)大変透き通った白さが印象的だ。今までの県産品種にはないシルク(絹)のようななめらかさで、ふくよかさを感じた」と絶賛。「まず県民にしっかりと届けていきたい」と県内での知名度向上を図る考えを示した。