八戸地域広域消防本部が31日までにまとめた圏域8市町村の2020年火災・救急概況によると、火災発生は106件で前年比24件減、火災に伴う死者は2人で前年(9人)を大きく下回り、中でも八戸市内は10年ぶりのゼロだった。圏域の救急出動は1万2075件と、過去最高だった前年(1万2887件)から812件の減。火災や救急出動の減少について、消防本部は「新型コロナウイルスによる外出やイベントの自粛が影響している可能性が高い」と分析している。[br][br] 圏域の建物火災は57件で、うち住宅火災は27件(前年比5件減)。焼損棟数は117件と前年より5棟多く、全焼は52棟(前年比15棟増)、半焼5棟(同7棟減)だった。その他、林野火災は12件、車両火災は9件。死者は三戸町、五戸町で各1人、負傷者は25人だった。出火原因のトップはストーブと放火でそれぞれ14件。たき火13件、タバコ11件などが続いた。月別発生件数は5月26件、4月11件、3月10件と、春に多かった。[br][br] 全体の損害額は1億6700万円で、前年(4億3367万円)から約6割減。圏域で最多の八戸市は8798万円で、同市市川町で発生した水産加工会社倉庫火災(19年11月)のような大規模火災がなかったため、前年から約3億円減となった。[br][br] 同本部予防課は「19年は4月に37件火災が発生したが、昨年は緊急事態宣言の影響か、春先の火災がかなり少なくなった。住民がコロナで外出を控えたのが大きいのではないか」と指摘する。[br][br] 救急出動は急病が8300件(前年比535件減)、一般負傷1425件(同40件減)、交通事故661件(同76件減)、労働災害117件(同4件減)、運動競技60件(同42件減)などと軒並み減少。搬送人員は11313人で前年比766人減だった。[br][br] 出動件数の減少は4、5月が顕著だった。同本部指令救急課は「コロナにより休業要請や学校の休校で部活動がなくなるなど、人の流れが少なくなったためではないか」と解説。増加を続けていた出動件数にストップが掛かったことについては、「正直ここまで減るとは思わなかった。新型コロナ感染を避けるため、特に健康に気を付けるようになった結果かもしれない」と話した。