東京からUターン 酢谷さん、風間浦に居酒屋開店

生まれ育った風間浦村下風呂地区で居酒屋を営むことを決めた酢谷敬生さん(右)=27日
生まれ育った風間浦村下風呂地区で居酒屋を営むことを決めた酢谷敬生さん(右)=27日
東京からUターンした酢谷敬生さん(37)が30日、生まれ育った風間浦村下風呂地区に居酒屋「来(こ)よ乃(ない)いちり」をオープンした。収束の兆しを見せない新型コロナウイルスに加え、村は過疎化が進行と取り巻く環境は厳しいが、「この村で生きてい.....
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 東京からUターンした酢谷敬生さん(37)が30日、生まれ育った風間浦村下風呂地区に居酒屋「来(こ)よ乃(ない)いちり」をオープンした。収束の兆しを見せない新型コロナウイルスに加え、村は過疎化が進行と取り巻く環境は厳しいが、「この村で生きていく。コロナもできる限りの感染対策を講じて乗り越えていきたい」と不退転の覚悟だ。「不安よりも期待の方が大きい」と言い切り、人生の転機を新たなチャンスにしようとしている。[br][br] 酢谷さんは幼い頃から料理が好きで、青森県立大畑高(現在は閉校)を卒業後、東京の服部栄養専門学校に進んだ。その後、都内のイタリアンレストランや居酒屋で働いた。30歳を過ぎた当たりから漠然とだが、「40歳になるまでには地元に戻り、飲食店をやりたい」との思いがあったという。[br][br] 勤めていた居酒屋では店長を任され、さまざまな客とのやり取りを通じ、人間模様が見えることに面白さを感じていた。しかし、新型コロナの感染拡大で、店も時短営業を余儀なくされた。こうしたこともきっかけとなり、昨年3月に退職。同7月に帰郷し、開店準備を進めてきた。[br][br] 新たに開店した居酒屋は、同12月に開業した下風呂温泉「海峡の湯」の斜め向かいに立地する。15年以上、空き店舗だった場所で、地元の友人らの協力を得て改装工事を済ませた。[br][br] 看板メニューは串焼きのやきとん(豚肉)。テークアウトにも対応する。酢谷さんは「地元住民にも観光客にも親しまれ、『また来たい』と思われる店にしたい」と意気込む。[br][br] 店名の「来よ乃」は酢谷さんの造語で「多くの人に来てほしい」という願いを込めた。「いちり」は亡き父親の名前「一利」にちなんだ。一利さんは酢谷さんが地元に戻ってきて飲食店を開くことを楽しみにしていたが、5年前に自宅で倒れて帰らぬ人に。酢谷さんは「父親が生きている間の開店はできなかったが、天国で喜んでくれていると思う」と語る。[br][br] 村によると、Uターンして飲食店を起業したのは酢谷さんが初めて。宿泊客の減少が続く下風呂温泉郷の宿泊施設関係者らも地域活性化に期待している。[br][br] 27日のお披露目会に駆け付けた村観光協会長で「下風呂観光ホテル三浦屋」を経営する三浦庸一社長(59)は「夜になると人通りが少ないが、居酒屋ができることで往来ができる。下風呂全体にとってプラスだ」と歓迎。村商工会の駒嶺剛一会長(71)は「若い人が戻ってきて事業を起こすことはうれしい。商工会もバックアップしていく」と約束する。[br][br] 居酒屋は当面無休で午後5~10時に営業する。1カ月ほど経過したら昼の営業も行い、定休日も設ける方針。生まれ育った風間浦村下風呂地区で居酒屋を営むことを決めた酢谷敬生さん(右)=27日