コロナで受注生産減の縫製工場、自社商品で再起図る/岩手県事業に県北4社参加

自社開発のジャケットに期待を込める岩手モリヤの森奥信孝代表=27日、久慈市
自社開発のジャケットに期待を込める岩手モリヤの森奥信孝代表=27日、久慈市
高い技術力で日本のアパレル業界を支えてきた岩手県内の縫製工場が、自社商品の開発に乗り出している。後押しする県の事業「イワテメイド アパレル プロジェクト」に県北地方の4社を含む計6社が参加し、それぞれの強みを生かしたジャケットやオーダースー.....
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 高い技術力で日本のアパレル業界を支えてきた岩手県内の縫製工場が、自社商品の開発に乗り出している。後押しする県の事業「イワテメイド アパレル プロジェクト」に県北地方の4社を含む計6社が参加し、それぞれの強みを生かしたジャケットやオーダースーツなどを完成させた。2月には展示会と受注会を開く予定で、インターネットビジネスへの参入も目指す。新型コロナウイルスの影響で大手メーカーの受注生産が激減する中、自社商品のブランド化で収益力を強化し、巻き返しを図る。[br][br] 日本百貨店協会の調査などによると、全国の百貨店の衣料品売上高は、1回目の緊急事態宣言が発令された昨年4月が前年同月比82・7%減、5月が同74・1%減。その後はやや持ち直したものの、前年同月を下回る状況が続き、大手メーカーとの取引が中心の県内縫製工場も大きな打撃を受けた。[br][br] こうした状況を打開するため、県は昨年9月からプロジェクトを開始。公募で選定した6社が10月から自社商品の開発に着手し、約2カ月かけて作り上げた。[br][br] 県北地方からは岩手モリヤ(久慈市)、二戸ファッションセンター(二戸市)、日本ソーイング岩手工場(一戸町)、ナカイズミ野田工場(野田村)の4社が参加。[br][br] 高級婦人服の縫製を手掛ける岩手モリヤでは、同社の森奥結企画室長(27)がデザインを担当し、体のラインに合わせたシルエットと着心地を追求したジャケット2種類を開発した。[br][br] 昨年4月以降、百貨店から客足が遠のき、受注が激減。国から受注したマスクや医療用ガウンの製造でしのいできたが、今年3月いっぱいで終わるため、打開策を模索していた。[br][br] 森奥信孝代表(67)は「技術はあるのに受注がなく、待つだけのつらい状況だった。とにかく自分たちから動き、やれることをやりたい」と新たな可能性に期待を込める。[br][br] このほか、思い出の洋服をポケットの裏地にして仕立てるスーツ(日本ソーイング岩手工場)、産地の強みを生かした漆染めのシャツ(二戸ファッションセンター)、部屋着やちょっとした外出に適したウエア(ナカイズミ野田工場)など、個性豊かな商品が並ぶ。[br][br] これらはクラウドファンディングで今月末まで試験販売。2月20、21日には盛岡市の百貨店「カワトク」で展示会と受注会が開かれ、一般向けにお披露目される予定だ。[br][br] プロジェクトを担当する県産業経済交流課の竹花光弘地域産業課長は「デザインや生地選びなど苦労もあると思うが、自社商品のブランド化につながる夢のある事業。ネットの活用も含め、プロモーションを一体的に支援していきたい」と話す。自社開発のジャケットに期待を込める岩手モリヤの森奥信孝代表=27日、久慈市