洋野町の蓄養ウニ事業、ブランド化目指し模索/昨年12月、関係者ら意見交換

ウニを試食した後、オンライン形式で意見交換する参加者=2020年12月下旬、洋野町役場種市庁舎  
ウニを試食した後、オンライン形式で意見交換する参加者=2020年12月下旬、洋野町役場種市庁舎  
洋野町が特産のウニの通年出荷体制構築によるブランド化へ、籠などで身入りの悪いウニに餌を与えて育てる「蓄養」の導入を模索している。関係者による昨年12月の意見交換会では、試験的に地元で蓄養されたウニの試食も行われ、「十分商品になる」「地元の旬.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 洋野町が特産のウニの通年出荷体制構築によるブランド化へ、籠などで身入りの悪いウニに餌を与えて育てる「蓄養」の導入を模索している。関係者による昨年12月の意見交換会では、試験的に地元で蓄養されたウニの試食も行われ、「十分商品になる」「地元の旬のウニには程遠い」などと評価が分かれた。町は「意見を基に、天然物も含めて“洋野のウニ”としてブランド化していければ」と先々を見据えている。[br][br] 同町のウニ生産量は本州の市町村で最多。漁期は4~8月上旬で、2019年度生産量は約40トン(むき身換算)だった。 [br][br] ただ、町が提携するリサーチ会社を通じて昨秋実施した調査結果によると、岩手県外では産地としての洋野町の知名度が低かった。小売店で「洋野町産」としてウニが売られているのを見たことがある人も関東地方では1割未満と少なかったため、他産地との差別化の必要性が浮き彫りとなった。[br][br] 町は年末年始など漁期以外の需要期にも高品質なウニを安定出荷することで、漁業者の収入増や町の知名度向上などにつなげられないか―と、海産物加工・販売などを手掛ける町内の「ひろの屋」(下苧坪之典代表取締役)や北海道大などと連携し、18年度から3カ年事業で蓄養の導入可能性を探ってきた。[br][br] 昨年12月には、町役場種市庁舎など町内3会場をつなぎ、オンラインによるセミナーを実施した。漁業者や流通関係者ら約50人がブランド化などに向けた課題などを共有。町内3地区でひろの屋が手掛けた蓄養ウニや外国産ウニの食べ比べも行い、産地間による色や形、苦味や甘味などの違いを確認した。[br][br] 意見交換では漁業者から蓄養について「色は最高だが、味はおいしいとは…」「甘味は足りないが、十分商品になる」との評価のほか、「旬の天然物には及ばないが、導入を検討していく余地はある」との前向きな声も聞かれた。[br][br] 町特定政策推進室の東山元寿室長は「漁業者らも真剣に向き合ってくれている。ブランド化に向けては時間をかけて取り組んでいきたい」と話した。下苧坪代表取締役は「『磯焼け』による海藻不足も課題となっている中、地域ブランドを大切にして、冬にウニを出荷できる体制を整えていければ」と展望を語った。[br][br] 一方、ある漁業関係者は「蓄養を売り出すなら天然物と区別してやってもらわないと、逆にイメージダウンにつながる可能性がある。今まで頑張ってやってきたことが崩れるのは困る」と注文を付けた。ウニを試食した後、オンライン形式で意見交換する参加者=2020年12月下旬、洋野町役場種市庁舎