核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団(浅石紘爾代表)が、使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)などの事業指定取り消しを国に求めた行政訴訟は22日、青森地裁(鈴木義和裁判長)で口頭弁論が行われた。原告は、再処理工場が680ガルの地震動に対応できない可能性を示唆する東京電力の資料を提示。国が求める700ガルの基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)を想定した耐震補強工事を、事業者の日本原燃は実施できないと指摘した。[br][br] 資料は2007年12月16日に開かれた東電内部の会議用に作成。福島第1原発事故を巡り、当時の役員の責任が争われた刑事裁判で証拠として提出された。[br][br] 資料作成時点で原燃などの原子力事業者は耐震性の再確認を迫られていた。国のワーキンググループは07年7月の新潟県中越沖地震で記録した680ガルを全国の原子力施設に展開すべきとする意見が多く、東電はその対応に注力していた。[br][br] 680ガルを基準にした場合の各施設への影響を電気事業連合会が集約したページでは、再処理工場に関して「450ガルに対してほとんど余裕のない機器が存在」とし、「レッドセル(放射線量が極めて高い密閉された部屋)内の機器が要補強となるが、アクセス困難」と明記されていた。[br][br] 資料について、原告は「再処理工場の耐震補強は著しく困難、すなわち事実上困難で、お手上げ状態であることが示されている」と強調した。[br][br] 一方、被告は基準地震動に関する反論資料を提出したが、弁論はしなかった。[br][br] また、原告はこの日、昨年7月に工場が新規制基準の審査に合格したことを踏まえ、合格取り消しを求めて同地裁に提訴した。