北奥羽各市、予算編成作業に苦慮 コロナで税収の大幅減見込まれ

全国で感染拡大が続く新型コロナウイルスが、北奥羽地方の市部の2021年度当初予算編成に大きな影響を及ぼしている。歳入の柱となる市税収入が大幅に減少すると見込まれ、編成作業が難航。中には市税収入が最大20%下がると想定する自治体もある。各市と.....
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 全国で感染拡大が続く新型コロナウイルスが、北奥羽地方の市部の2021年度当初予算編成に大きな影響を及ぼしている。歳入の柱となる市税収入が大幅に減少すると見込まれ、編成作業が難航。中には市税収入が最大20%下がると想定する自治体もある。各市とも税収減の一方で、今後も新型コロナ対策などで新たな財政負担が生じることを懸念しており、行政サービスの低下を招かないよう財源の確保などに知恵を絞っている。[br][br] 自治体の歳入のうち、市民税や固定資産税などを含む「市税」は、使途が特定されない自主財源の一つ。公共施設の運営、インフラ整備、ゴミ処理など、幅広い分野の事業に充てられている。[br][br] ただ、北奥羽の八戸、三沢、十和田、むつ、久慈、二戸の各市は新年度の市税収入について、新型コロナの影響で個人、法人ともに所得が減り、市税の大部分を占める市民税(住民税)が減少すると予測。国による固定資産税の軽減措置などもあり、全体としての税収は大幅に落ち込むとみる。[br][br] 市税収入がこれまで300億円前後で推移してきた八戸市は「現段階で具体的な数字は見通せないが、総務省の仮試算を市に置き換えると、20億円を超える減収になる可能性がある」と予測。20年度当初予算で市税収入が約57億円だったむつ市は20%程度の減収を想定する。[br][br] 久慈市は1億円以上の減収を見込む。笹原賢二財政課長は「やりくりはこれからだが、財政運営への影響は避けられない。どこか削らなければならない部分も出てくるだろう」と指摘。「歳出の抑制に努めて編成する」とし、厳しい状況にあることを打ち明ける。[br][br] こうした中、各自治体は新年度の予算編成に当たり、減少分を賄う財源の確保に奔走。新型コロナで疲弊した地域経済の再興に向けて、従来以上に工夫を凝らして対応する考えを示す。[br][br] 八戸市は、市民生活の在り方や市政全般をゼロベースで見つめ直し、今後のまちづくりの基本的な考え方を定めた上で、予算付けを進める意向。むつ市は予算要求の段階から限度額を一定程度抑える「マイナスシーリング」を継続する方針だ。[br][br] 二戸市は、全体の予算規模が前年度から20億円程度縮小する可能性も視野に、実施事業が歳入に見合った形となるように組む。[br][br] 全国では、財源不足への懸念から、既に継続事業の中止や先送りを決めた例もあるという。[br][br] 今後の対応について三沢市の山﨑徹財務部長は「財政調整基金の取り崩しなどで減収分を補い対応したい」と強調。[br][br] 十和田市の漆舘典子企画財政部長は「限られた予算の中、事業の実施はこれまで以上に『選択と集中』を重視する。国や県の補助金もうまく活用したい」としている。