通常国会が18日に召集される。[br][br] 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、東京、大阪など11都府県に緊急事態宣言が出される中での国会論戦は、当然のことながらコロナ対応が中心となる。[br][br] 安倍晋三前首相側の「桜を見る会」前日の夕食会費用補塡(ほてん)問題や吉川貴盛元農相の現金受領疑惑の解明に向けた議論も必要だ。政府、与党が通常国会での成立を目指す国民投票法改正案は、憲法改正の前提となるだけに慎重な審議が求められる。[br][br] コロナ禍という難局からいかに脱却していくのか。感染を抑止しつつ円滑に経済を回すことが可能となる処方箋を見いだすためには与野党による建設的な議論が不可欠だ。そのためには政府側が安倍前首相のような高圧的な国会対応を控えなければならない。菅義偉首相以下各閣僚には丁寧な答弁が要求される。[br][br] コロナ対応については、野党側も可能な限り政府、与党と協力して超党派で国民の納得が得られる対策を打ち出す努力が必要となる。一方で、政治とカネの問題では政府、与党を厳しく追及するというメリハリを効かせた国会対応を野党各党に期待したい。[br][br] 今回の通常国会で政府、与党は、2021年度予算案の審議に先立ち、コロナ禍に対応する総額19兆円余の20年度第3次補正予算案を成立させ、その後に新型コロナウイルス特別措置法改正案と感染症法改正案を成立させる方針だ。[br][br] 両改正案については、休業要請に応じた事業者への補償の規模のほか、休業、時短に応じない事業者や入院勧告を拒否した感染者に対する罰則の是非を巡って与野党間に意見の隔たりがある。[br][br] 昨年、緊急事態宣言が全国に出された結果、最も痛みを強いられたのは、廃業に追い込まれた中小零細事業者や職を失ったパート従業員らだった。特措法改正案の審議を通じて、緊急事態宣言下で社会的弱者ばかりにしわ寄せが及ばないよう、与野党で知恵を絞る責任がある。[br][br] 通常国会は延長がなければ6月16日までの会期となる。その間、4月25日には衆院北海道2区と参院長野選挙区の補選があり、夏には東京都議選が控えている。衆院議員の任期は10月21日までで、国会中の衆院解散の可能性も排除できない。選挙前の国会では与野党間の対立が先鋭化しがちだ。[br][br] コロナ禍で、感染防止と経済活動をどう両立させていくのか。与野党各党には、難局の打破に向けて緊張感を維持しながらも真摯(しんし)な論戦が展開されることを望みたい。