無人航空機「シーガーディアン」実証実験、一定の成果 運用最有力地は八戸 

八戸飛行場で実証実験を行った無人航空機「シーガーディアン」=10月29日、八戸市 
八戸飛行場で実証実験を行った無人航空機「シーガーディアン」=10月29日、八戸市 
海上保安庁が持続的な海洋警備などのため無人航空機「シーガーディアン」(MQ―9B)の導入可否を検討している。昨年10月15日から11月10日までの約1カ月間は、八戸市の海上自衛隊八戸飛行場を拠点に実証実験が行われ、一定の成果を挙げた模様だ。.....
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 海上保安庁が持続的な海洋警備などのため無人航空機「シーガーディアン」(MQ―9B)の導入可否を検討している。昨年10月15日から11月10日までの約1カ月間は、八戸市の海上自衛隊八戸飛行場を拠点に実証実験が行われ、一定の成果を挙げた模様だ。導入に当たっては航空法改正や予算確保が必須で「現時点ではスケジュールを含めて白紙」と慎重姿勢だが、今後の実験について「(八戸以外での運用は)現時点で考えていない」としており、導入が決まれば運用の最有力地は同飛行場となる可能性が高いとみられている。[br][br] 同庁は6月、民間機が離着陸せず、住宅地の上空を経ずに直接洋上に出られるなど、立地条件の良い八戸飛行場を実証実験の場に選んだ。無人機導入を検討する背景として、尖閣諸島や小笠原諸島周辺で中国公船や漁船が領海侵入する事案が頻発していることや、国内の人口減少に伴い持続的な海洋警備が難しくなることを挙げる。[br][br] 実証実験で使用された無人機は米国製で、全長11・7メートル、幅24・0メートル、重さ約5・7トン。三沢空港を発着するボーイング737―800(約79トン)などの旅客機と比べて機体は小さく、騒音もかなり抑えられている。最大速度は時速約390キロ、最高高度約1万2千メートルで、航続時間は最大35時間に及ぶ。[br][br] 実験は同庁が委託した航空測量業のアジア航測(川崎市)が、操縦資格を持った米国人技術者を招聘。同飛行場の滑走路脇に設置された地上のコントロール施設から衛星を通じ、遠隔操作で操縦を行った。[br][br] 期間中は13回、150時間にわたり飛行。三陸沖や日本海、小笠原諸島海域での海難事故や不審船の監視を想定し、同機に搭載された海洋監視レーダーや可視・赤外線カメラを用いてデータを収集した。海保職員は実際に操縦せず、シミュレーターで訓練を行い、操縦の難易度や導入への課題を確かめたという。[br][br] 実験を終え、同庁の担当者は「トラブルもなく、保有する有人機以上の監視能力を確認できた」と話すが、多岐にわたる課題も見つかったとして「しっかり精査している最中」と慎重姿勢。別の海保関係者は「(飛行場周辺の)住民からは実験に関する苦情は全くなかった」とした上で、「現状整っていない大型操縦無人機に関する法整備や、予算繰りが導入への一番の壁」と課題を挙げる。[br][br] 同飛行場の提供などを通じて実験に協力した海自八戸は、無人機導入について「何も答えられることはない」としつつも、「導入されればさまざまなデータの提供が受けられる可能性がある。その点はメリット」との見方を示した。八戸飛行場で実証実験を行った無人航空機「シーガーディアン」=10月29日、八戸市