【北奥羽丑(うし)物語】(3)あおもり倉石牛(五戸町、新郷村)

1頭1頭への目配りを欠かさずに育てられる倉石牛=2020年11月、新郷村
1頭1頭への目配りを欠かさずに育てられる倉石牛=2020年11月、新郷村
2021年は丑(うし)年。私たち人間は、古くから農耕や運搬の労力として牛の力を借り、命を頂いて肉を味わってきた。冷涼で自然豊かな北奥羽地域は牛の生育に適した環境で、畜産も盛ん。各地で特徴のある肉牛や乳製品が生産され、闘牛などの独自文化も息づ.....
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 2021年は丑(うし)年。私たち人間は、古くから農耕や運搬の労力として牛の力を借り、命を頂いて肉を味わってきた。冷涼で自然豊かな北奥羽地域は牛の生育に適した環境で、畜産も盛ん。各地で特徴のある肉牛や乳製品が生産され、闘牛などの独自文化も息づく。温厚でマイペースながら、強い意志を秘めた牛のイメージは、なんだか南部人の気質にもつながる。丑年をきっかけに、身近な牛について理解を深めよう。[br][br]◇名誉賞獲得“幻の銘牛”[br] 軟らかな肉質と、きめ細かい脂肪が入った美しい霜降り。青森県が誇る黒毛和種「あおもり倉石牛」は、全国の市場関係者や小売店から高い評価を得る、最高級のブランド牛だ。[br][br] 2008年の全国肉用牛枝肉共励会では並み居る全国の銘柄牛を押しのけ、最高賞である「名誉賞」を獲得。年間出荷数が約400頭という希少価値もあって“幻の銘牛”と称される。[br][br] 生産するのは、五戸町倉石地区を中心とする畜産農家12戸。新郷村の佐藤貴さん(42)は、子牛の生産から肥育までを行う一貫生産で約160頭を飼育する。[br][br] 種付けから280日で子牛が産まれ、生後30カ月まで肥育する。“サシ”と呼ばれる脂肪の霜降り具合は、遺伝的な能力による部分が大きいといい、「牛が能力を最大限引き出せる環境を整えることが大切なんだ」と佐藤さん。毎日1頭1頭の体調にくまなく目を配り、上質の牛を生産するための努力を怠らない。[br][br] 20年は新型コロナウイルスの影響で価格が下がり、苦労もあった。それでも手塩に掛けた牛は「自分でも最高においしいと思う」。誰もが気兼ねなく外食を楽しめる日が戻ることを願っている。1頭1頭への目配りを欠かさずに育てられる倉石牛=2020年11月、新郷村