日本原燃は16日、六ケ所村のMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料加工工場の完成目標を2022年度上期から2年延期し、24年度上期にすると青森県と村へ報告した。安全対策工事の物量増加が要因で、延期は通算7回目。原燃は使用済み核燃料再処理工場(同村)とMOX工場の暫定の操業計画も提示し、再処理工場でプルトニウムを取り出す時期が23年度になると見通しを示した。[br][br] 延期理由に挙げた対策工事は▽火災時の保持が必要な2系統以上ある非常用電源などで系統間の距離を確保▽配水管を安全上重要な設備の上に通さず、耐震性強化のため約3万8千個の支持部材設置―の2点。新規制基準の審査過程で原発の基準に基づき、追加対策が必要になった。[br][br] 今回の工程や操業計画によると、今後議論される詳細設計の認可(設工認)の一部が下りれば、来春に本格的な建設工事を再開。操業後は、プルトニウムなど核燃料物質を焼き固めて作るペレットの品質確認試験を行い、25年度に燃料製造が可能になる。[br][br] この日、青森市で会見した増田尚宏社長は度重なる延期を陳謝しつつ、「確度が高い工程を積み上げられた」と強調。工事量増加で約3900億円の建設費増額も予想されるが「増えるばかりでなく、減らせる部分もある。見直しは行う」と述べた。[br][br] 今年9月に基礎の一部鉄筋で腐食が進んでいる可能性が判明し、約1万6200本で進めている健全性確認は、9割近く終え、現時点で異常はないと説明。今月中旬に予定していた再処理、MOX両工場の設工認申請は「年内には終えたい」とした。[br][br] MOX工場は10年に着工したが、11年の東京電力福島第1原発事故後に施行された新基準への対応を優先するため、15年11月に工事を中断。今月9日に新基準の審査に合格した。