時評(11月27日)

衆参両院の予算委員会で行われた集中審議で野党は、安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に高級ホテルで開いた夕食会に関し、安倍氏が虚偽の答弁をした疑いが強いと追及した。 安倍氏は首相当時の国会答弁で、夕食会は後援会会員の会費だけで催され、.....
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 衆参両院の予算委員会で行われた集中審議で野党は、安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に高級ホテルで開いた夕食会に関し、安倍氏が虚偽の答弁をした疑いが強いと追及した。[br] 安倍氏は首相当時の国会答弁で、夕食会は後援会会員の会費だけで催され、安倍氏側の補塡(ほてん)などはなかったと一貫して主張してきた。しかし、ここにきて東京地検特捜部が、補塡の有無や政治資金規正法違反の疑いなどを巡り、安倍氏の秘書らを任意で事情聴取したことが明らかになった。[br] 安倍氏が国会で虚偽の説明を重ねていたとすれば甚だしい国会軽視だ。安倍内閣の官房長官として同様の答弁をしていた菅義偉首相は「事実が違った場合は当然、私にも責任がある」と認めているが、野党が求める安倍氏の証人喚問や参考人招致については「国会のことは国会が決めること」などと消極的な対応に終始している。[br] 菅首相は「捜査中」であることを理由に、事実関係の確認を拒んでいる。確かに検察への指揮権に関わることであり、首相の行動は慎重であるべきだろう。[br] 一方、安倍氏は取材に対し「事務所としては(捜査に)全面的に協力をしていく」と述べた。菅首相が安倍氏に対し、国会での説明や関係文書の開示を促すことなどで国会審議に協力することは可能ではないか。[br] 予算委の集中審議では、新型コロナウイルスの感染拡大による、ひとり親世帯など生活弱者の窮乏も野党から紹介された。観光支援事業「Go To トラベル」などの迷走を受け、国民の戸惑いもあらわになっている。日本医師会会長は「全国各地で医療提供体制が崩壊の危機に直面している」と指摘する。[br] 感染拡大防止を最優先としながら、経済も回していくという菅首相の方針を徹底するにも、まずは政治や行政が国民から信頼されていることが前提だ。前政権下では、学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡る国会での政府答弁のうち計139回が事実と異なっていたことも明らかになっており、政治、行政への信頼は地に落ちている。[br] 前政権を引き継いだ格好の菅首相にとっては、安倍氏らの問題が現政権の運営に影響する懸念があり、距離を置きたいのだろう。ただ、信頼回復への道は「真実」を明らかにすること以外にはありえない。[br] かつての安倍氏側近、そして現在の首相・自民党総裁である菅氏であればこそ国会、そして国民に誠実に対応するべきだ。