臨海部工業地帯の魅力発信 「八戸工場大学」が本年度で終了/講義の様子を動画公開

家庭紙をテーマにした講義。会場で10人が受講した他、県内外の42人がオンライン参加した=11日、八戸市のはっち
家庭紙をテーマにした講義。会場で10人が受講した他、県内外の42人がオンライン参加した=11日、八戸市のはっち
北東北屈指の規模を誇る八戸市臨海部の工業地帯は、昼も夜も休まず稼働し続ける、さながら“巨大生命体”。「海から拓(ひら)けたまち」の象徴でもある。これを地域資源として捉え、アート、文化などの視点から魅力を発信してきた市の取り組み「八戸工場大学.....
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 北東北屈指の規模を誇る八戸市臨海部の工業地帯は、昼も夜も休まず稼働し続ける、さながら“巨大生命体”。「海から拓(ひら)けたまち」の象徴でもある。これを地域資源として捉え、アート、文化などの視点から魅力を発信してきた市の取り組み「八戸工場大学」が、本年度で終了する。2013年の開講以来、工場関係者らを招いての座学、夜景撮影などの課外活動を通じて参加者が地元理解を深めてきた。学長の尾刀幸雄さん(51)は「工場関係者の協力を得て地域振興につなげられたのではないか」と話している。[br][br] 通年参加型の講義は年6回。毎回50人近くの幅広い年齢層の受講生が集まり、景観工学を研究する大学教授や工場関係者を講師に、工業地帯の歴史や文化的背景などを学んだ。遊覧船を貸し切っての工場夜景撮影会、工場施設内見学会などの課外活動もあり、さまざまな角度から工場に親しんだ。[br][br] 活動は、18年には地域活力を生み出す全国のイベントを表彰する「第22回ふるさとイベント大賞」(地域活性化センター主催)で、選考委員会表彰に当たる「ふるさとキラリ賞」を受賞。尾刀さんは「工場と地域住民のつながりと言えば、昔は公害に対する反対運動だったが、大学では工場の協力を得て地域活性化につなげられている」と語る。[br][br] そんな工場大学だが、一定の役割を果たした―として、年度内で一区切りとすることになった。本年度参加する同市の団体職員木村孝志さん(64)は「知っている工場だからこそ、中身を知ると興味深くておもしろい。今年で終わるのはやはり寂しい」と名残惜しむ。[br][br] 新型コロナウイルス感染予防が求められる本年度の活動は、講義の会場受講人数を10人に制限しつつ、オンライン参加を50人まで受け付け、県内外からの参加が可能。三菱製紙八戸工場の酒井浩太郎事務部長を講師に家庭紙をテーマとした、今月11日の講義(はっち)では、会場受講に加えて北海道、東京などから42人がオンライン参加した。[br][br] 今月25日、来年1月20日の講義は、申し込み不要で八戸工場大学の動画投稿サイト(YouTubeチャンネル)から視聴可能だ。尾刀さんは「最終年度になるが、八戸の工場の魅力が少しでも伝わるように活動していきたい」と意気込む。[br][br] 21年度以降については、八戸市新美術館を舞台とした新たな活動が検討されている。工場大学の企画、開催にも携わってきた市新美術館建設推進室の大澤苑美さん(37)は「生まれた地域のことをもっと好きになってもらいたいと思いながら活動している。さまざまな形を模索していきたい」と意気込んでいた。家庭紙をテーマにした講義。会場で10人が受講した他、県内外の42人がオンライン参加した=11日、八戸市のはっち