2005年11月から八戸市長を務める小林眞氏(70)の4期目の任期が今月16日で残り1年となる。15年の市政運営を振り返るとともに、残りの任期で、市政の課題にどう対処していくのか小林氏に聞いた。[br][br] ―15年間の市政運営に対する自己評価は。[br][br] 国の政策を十分にキャッチし、先進的な自治体の情報も得るなどして、全体を俯瞰(ふかん)しながら、まちづくりを進めてきた。全てがうまくいったわけではないが、全力で取り組んできた。一番大きかった出来事は、やはり東日本大震災。復旧・復興を成し遂げることが大きな責務で、現在の4期目も、復興の仕上げの段階という意識でやってきた。[br][br] 公約についてはさまざまあったが、総合保健センターの整備は目玉だった。健康や保健、子育て、教育などいろいろな問題を抱えている人がいる中で、総合的に支援していく体制を整えた。スタートしたばかりだが、実現できたのは大きかったと思っている。[br][br] ほかにもマチニワの建設や八戸駅西地区の区画整理に伴う事業、DMO(観光地域づくり推進法人)の設立や新産業団地の開発など、約束したことについては着実に取り組んできた。[br][br] ―市長就任後、八戸はどう変化した。[br][br] 市民が主体で、市民が先頭に立つまちづくりを進めてきた。産業、文化、スポーツ、教育など、あらゆる面で行政が表に出て旗を振るのではなく、市民の皆さんが頑張ってもらう方向性を提供してきた。[br][br] 例えばプロスポーツチームの誕生も全て就任後。県内では比較しようがないほど観客が集まっている。それもまた地域の元気づくりに貢献できているだろう。[br][br] まちづくりの評価としては、人口動向のデータを見ると、県内の人口減少が激しい中、八戸の力は保たれている。県内40市町村で人口がプラスとなっているのは六戸とおいらせの2町のみ。最もマイナスが少ないのは三沢市で、次が八戸。人口は1割ほど減っているが、比較すると、持ちこたえていると思っている。[br][br] ―第3魚市場荷さばき施設A棟の問題は市民の理解を得られるか。[br][br] 厳しい状況にある。完成前に震災で被災し、結果的に巻き網漁船も改革型にはならなかった。あの時点での判断もあったのかもしれないが、現在は、A棟で水揚げされたことに価値を付加しながら売るという方向で話が進んでいる。それを理解してもらうよう取り組んでいくしかない。[br][br] ―5期目の対応は。[br][br] 白紙だ。ただ、誰が市長になっても、コロナ禍では難しい市政運営となるのは避けられないだろう。少なくとも残りの任期中は、コロナ対応を含めて一生懸命やることに尽きる。[br][br] 市民生活を平常に戻すのが第一だ。その意味で、来年度の予算編成は、市民生活の在り方や市政全般をゼロベースで見詰め直し、今後のまちづくりの基本的な考え方を定め、予算付けを進めていきたい。