少ない水でサーモン養殖 国内初の屋外循環式 今別町に養殖場完成

 青森県今別町に完成した、少ない量の井戸水でサーモンを稚魚から体長30センチぐらいまで育てる「屋外循環式」の中間養殖場=10月16日
 青森県今別町に完成した、少ない量の井戸水でサーモンを稚魚から体長30センチぐらいまで育てる「屋外循環式」の中間養殖場=10月16日
少ない量の井戸水でサーモン(サケマス類)を稚魚から体長30センチぐらいまで育てる「屋外循環式」の中間養殖場が青森県今別町に完成した。建設したオカムラ食品工業(青森市)によると、同方式は国内初の技術。川の水を掛け流す方式に比べて水量を約1%に.....
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 少ない量の井戸水でサーモン(サケマス類)を稚魚から体長30センチぐらいまで育てる「屋外循環式」の中間養殖場が青森県今別町に完成した。建設したオカムラ食品工業(青森市)によると、同方式は国内初の技術。川の水を掛け流す方式に比べて水量を約1%に抑えられる上、田畑と競合しがちな川沿い以外にも建設できるのが利点だ。[br][br] 日本人の魚離れが進む中でサーモンはすしネタなどとして人気が高まっている。餌を工夫するなどした各地の「ご当地サーモン」の養殖でも活用できる可能性がある。[br][br] 今別町の養殖場は幅4メートル、長さ20メートル、深さ1・5メートルのいけす5基などで構成。ろ過設備の回転式フィルターで水からふんや食べ残しを除去し、微生物の働きでアンモニアを無毒化する。屋内施設に比べて建設、維持の費用を抑えられた。[br][br] ただ実証試験で直射日光による水温上昇が課題として浮上した。高温下で魚は呼吸が激しくなり、酸欠で全滅の恐れもある。そこでデンマークの先進施設を参考に、いけすの底から気泡を出して水中の二酸化炭素を追い出し、その後酸素を送り込んで効率よく水に溶け込ませる装置を導入。夏でも養殖可能になった。[br][br] 養殖場の水質調査に協力する弘前大の福田覚(ふくださとる)准教授(水産科学)は「冷たい井戸水がある北海道や東北などで応用できる」と話す。[br][br] 既に他の養殖場から運んだ体長25センチほどのニジマス約3万匹の飼育を開始。今月には近海での海面養殖場に移す。60~70センチに育てて来年6月ごろから出荷する予定だ。[br][br] 国内で流通するサーモンの多くはチリやノルウェーからの輸入物。オカムラ食品工業は今別町の周辺の施設で稚魚から成魚まで一貫生産し年間数千トンの一大産地化を目指す。同社の鈴木宏介(すずきこうすけ)養殖部長は「国産は新鮮でおいしい。地域の一大産業として全国に届けたい」と意気込む。[br][br][br] サーモン 生で食べられるサケやマスの総称。ほとんどが養殖で、代表的な魚種はギンザケやニジマス。国内ではサケの英語名というイメージが強く、ニジマスは「トラウトサーモン」などの表記で販売される。青森県産業技術センター内水面研究所によると、1990年ごろから市場に出回り、現在9割以上がチリやノルウェーなどからの輸入品だ。養殖方法は大きく2種類で、川の水を利用したいけすで成魚まで育てる「陸上養殖」と、成育途中から海に移す「海面養殖」がある。 青森県今別町に完成した、少ない量の井戸水でサーモンを稚魚から体長30センチぐらいまで育てる「屋外循環式」の中間養殖場=10月16日