青森県は15日、上十三、弘前、青森市の3保健所管内で、10~60代の男女16人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。いずれも12日以降に感染が判明した弘前市の飲食店従業員とその同居人、利用客、弘愛会病院の職員。1日当たりの感染者数は県内で過去最多となり、累計57人となった。県は、県内初の飲食店クラスター(感染者集団)が発生したと断定し、店名を公表。9月28日から10月10日の期間の利用客に対し、帰国者・接触者相談センターに連絡するよう求めている。[br][br] 県が公表したのは、弘前市鍛冶かじ町のクラブ「縷(ル)・シャモン」、スナック「シャモン」の2店舗で、いずれも接待を伴う飲食店。経営者は同じで、同一ビルに入居している。[br][br] 今回感染が判明した利用客は、12日に感染を確認した同病院勤務の60代男性医師と共に3日に来店していた上十三管内の60代男性1人、7~10日に来店していた弘前、青森市両管内の30~60代の男性6人。飲食店従業員は、弘前管内の10~50代の男女5人。[br][br] 加えて、14日に感染を確認した40代女性従業員と同居する20代男女2人。同病院関連では、新たに40、50代の女性職員2人が陽性反応を示した。[br][br] いずれも軽症または無症状で、県内の医療機関に入院予定という。濃厚接触者の詳しい人数や、感染者らの行動歴などは現時点で調査中。[br][br] 県は現段階の飲食店クラスターは、感染した従業員7人と利用客8人の計15人と断定。市中への感染拡大の懸念について、県感染症疫学コーディネーターの大西基喜医師は「(市中感染の)危機感は持っているが、現時点では封じ込めは可能。全力で対策にあたる」と強調した。[br][br] 県は厚生労働省のクラスター対策班に対し、専門家の派遣を要請する考え。現地での積極的疫学調査の助言や、感染拡大予防対策の協力を求めている。[br][br] 県によると、飲食店側は10月1日に従業員1人が体調不良を訴え、その後も複数人がのどの痛みなどの症状があったことから、弘前保健所に対し複数回の相談をしていた。[br][br] 保健所側は、県外や海外への移動歴がなかったことや感染が疑われる症状が見られなかった―などの理由で、検査対象とせず地域の医療機関の受診を促したという。県は今回の保健所の対応が適切だったかどうかを今後検証する方針だ。