水害防止へ小屋畑川(久慈)切り替え工事 岩手県100億円規模

岩手県が川の切り替え工事に着手する方針を固めた小屋畑川=12日、久慈市長内町
岩手県が川の切り替え工事に着手する方針を固めた小屋畑川=12日、久慈市長内町
岩手県は、昨年10月の台風19号で氾濫し、住宅地に浸水被害をもたらした久慈市の小屋畑川で、河川の流れを変える「切り替え工事」を行う方針を固めた。来年度からの事業化を目指し、国と最終調整を進めている。工事期間は7、8年を見込んでおり、総事業費.....
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 岩手県は、昨年10月の台風19号で氾濫し、住宅地に浸水被害をもたらした久慈市の小屋畑川で、河川の流れを変える「切り替え工事」を行う方針を固めた。来年度からの事業化を目指し、国と最終調整を進めている。工事期間は7、8年を見込んでおり、総事業費は100億円近くに上る大規模工事となる。台風19号が北奥羽地方に最接近してから13日で1年。抜本的な治水工事によって水害の防止に期待が掛かる。[br][br] 台風19号では、県沿岸各地で観測史上最大の豪雨に見舞われ、同市では降り始めからの総雨量が359・5ミリに達した。長内川の支流の小屋畑川は普段は水量の少ない小河川だが、同市長内町の広範囲で氾濫し、流域の住宅地に泥が流れ込んだ。[br][br] 県はこれまで、堆積した土砂を取り除く河道掘削工事を進めてきた。ただ、川幅が狭いため効果は限定的で、年月がたてば再び土砂が堆積するのは避けられなかった。[br][br] 河川改修も検討したが、両岸ぎりぎりまで道路や住宅があるため、川の拡幅やカーブを緩やかにするといった工事も難しく、唯一の抜本的な対策として切り替えに踏み切る。[br][br] 現時点でルートは確定していないが、小屋畑橋付近から別の流れを作って、住宅地への影響を避ける。長内橋付近にある本流との合流地点は、上流に数百メートルずらす予定。現在の川は完全に閉め切るか、残して増水時に使用する2案がある。[br][br] 一帯ではかつて小屋畑川の切り替えも含めた大規模な土地区画整理事業が持ち上がったが、地権者の反対で中止になった経緯がある。今回は川の切り替えのみが“復活”する形で、当時のルートが基本線になるとみられる。[br][br] さらに、県は本流の長内川にある新街橋の架け替えも進めたい考えだ。同橋は老朽化が進み、木造で橋脚の本数が多い。合流地点を変えることで橋の上流で水位が高くなり、橋脚に流木が引っかかる恐れがあるため、鉄筋化を検討する。[br][br] 切り替えルートは住宅地を避けて山側を通る見込みだが、一部では住宅移転も必要となりそうだ。県北広域振興局河川港湾課は「今後は説明会などの機会を設け、地元住民の理解を得たい」としている。岩手県が川の切り替え工事に着手する方針を固めた小屋畑川=12日、久慈市長内町