経済界、スガノミクスを注視 「地方の経済底上げを」

安倍晋三前首相の経済政策「アベノミクス」を継承する方針の菅義偉首相。八戸市を中心とした北奥羽地方の経済界が「スガノミクス」を注視している(写真はコラージュ)
安倍晋三前首相の経済政策「アベノミクス」を継承する方針の菅義偉首相。八戸市を中心とした北奥羽地方の経済界が「スガノミクス」を注視している(写真はコラージュ)
約7年8カ月にわたった安倍政権を引き継ぎ、新首相に就いた菅義偉氏の経済政策を北奥羽地方の経済界が注視している。菅氏は「アベノミクス」の継承を掲げているが、地方への恩恵が限定的との評価が大半で、経済関係者は「地方経済を底上げしてほしい」と切実.....
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 約7年8カ月にわたった安倍政権を引き継ぎ、新首相に就いた菅義偉氏の経済政策を北奥羽地方の経済界が注視している。菅氏は「アベノミクス」の継承を掲げているが、地方への恩恵が限定的との評価が大半で、経済関係者は「地方経済を底上げしてほしい」と切実な思いを寄せる。新型コロナウイルスの影響で世界的に経済が減退し、前例のないコロナショックで地域経済が疲弊する中、新宰相の「スガノミクス」に対し、地方や中小企業に目を向けた政策を求める声が高まっている。[br] 新型コロナは消費活動に大打撃を与え、特に飲食やサービス、観光産業への影響が甚大だ。青森県内のホテル事業者は「感染が収束しなければ、インバウンド(訪日外国人客)を含めて以前のような観光ビジネスの再生は難しい」と話す。[br] 八戸市中心街の飲食事業者は「コロナ禍の中でも消費が喚起される施策を早急に進めてほしい」と菅政権に要望。「一時的な経済対策ではなく、持続的に経済が回る仕組みでなければ地方の飲食産業はもたない。首相がリーダーシップを発揮し、明確なメッセージを発信して国民を安心させてもらいたい」と強調する。[br] 安倍政権が推し進めたアベノミクスは金融緩和、財政出動、成長戦略の「三本の矢」を柱に異例の施策を重ねた。金融緩和の結果、日経平均株価は大幅に上昇したが、地方や中小企業への波及効果は少なく、実体経済の改善には至っていない―との見方が強い。[br] 県内の小売業者は「個人消費は回復しておらず、消費者の節約志向はコロナでさらに高まった」と指摘。製造業の経営者は「菅首相には実体経済に目を向けてもらい、疲弊した地域経済を上向かせてほしい」と安倍路線継承の見直しを訴える。[br] 有効求人倍率の上昇もアベノミクスの成果の一つとされる。だが、同市の経済関係者は「政策の効果ではなく、特に地方では労働人口が減った影響だろう。増えた求人も非正規雇用の割合が高い」と成果に疑問を呈する。[br] アベノミクスは東京一極集中を加速させ、大都市と地方の格差が一層拡大したとし、「菅首相は地方の生活を一番に考えてほしい。この地域を支えている、さまざまなものづくり産業を置き去りにしないでもらいたい」と注文を付ける。[br] 一方、菅氏は肝いりの政策として地方銀行の再編を推進する構えだ。県内では青森銀行、みちのく銀行というライバル同士の経営統合案が取り沙汰されており、地元経済界の関心も高い。[br] 両行と取引がある県南地方の経営者は「地銀の経営基盤を強化する考えは理解できるが、寡占化で競争の原理が働かなくなる可能性がある」と指摘。「経済活動には選択肢が必要。地域経済を下支えする中小企業にデメリットがあってはならない」とし、政府主導の地銀再編に懸念を示した。安倍晋三前首相の経済政策「アベノミクス」を継承する方針の菅義偉首相。八戸市を中心とした北奥羽地方の経済界が「スガノミクス」を注視している(写真はコラージュ)