全農青森県本部(桑田徳文本部長)は15日、青森市で組合長会議を開き、コメの販売委託を受けた農協が生産者に仮払いする2020年産米の「生産者概算金」(60キロ、1等米)の参考となる目安額を決定した。県産主力品種の「まっしぐら」は1万1400円、「つがるロマン」は1万1600円で共に800円下落した。引き下げは14年以来6年ぶりとなる。慢性的なコメの需要減少と、新型コロナウイルスの感染拡大で外食が落ち込んだ影響で、国内在庫が過剰となる可能性を反映させた。[br] 全農県本部は下げ幅を800円とした理由に関し、「新潟などの主産地や岩手など東北各県が既に示している概算金の下げ幅に意識した」と説明した。[br] 青森県内の20年産米の作柄概況は、8月15日時点で「やや良」を示し、前年とほぼ変わらない豊作基調の可能性が高く、余剰在庫がさらに膨らむ恐れがある。主産地なども収穫量は平年並みの見込み。[br] 余剰在庫の傾向は近年強まっている。農林水産省が7月末に示した国内の民間在庫状況(6月末時点)は201万トンと前年同期比で12万トン多い。来年はさらに在庫が増え、全農県本部の目安額が過去最低の7千円台に落ち込んだ14年と同じ220万トン台に上るとの見方もある。[br] まっしぐらは外食向けの業務用米の取引が多く、目安額の大幅下落が見込まれていたが、下げ幅は3桁台にとどまった。全農県本部米穀部の成田具洋部長は「まっしぐらは(コンビニ弁当など)中食にも使われ、業務用に限らず幅広く売り出せている。つがるロマンよりも価格面の打撃が大きいわけではない」とした。[br] 全農県本部の目安額を基に、八戸、十和田おいらせ、おいらせの各農協は16日、ゆうき青森農協は17日、それぞれの生産者概算金を決定する会議を開く。[br] 15日の組合長会議の出席者によると、県産ブランド米「青天の霹靂(へきれき)」の目安額は前年同額の1万5600円。ほぼ家庭向けで需要に影響がなく、ブランド米「つや姫」など他県産の高級品種が概算金を据え置いたことを考慮したという。