【情報滞留行政・解説】今こそ古き慣習を改めよ

「議会優先」を金科玉条のごとく掲げて、赤字問題を抱える水産施設の情報公開を後回しにしてきた八戸市。この問題に限らず、議会を理由に情報を公開しない姿勢は「市民軽視」と映る。議会を隠れみのとして、市にとって不都合な情報を隠蔽(いんぺい)する温床.....
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「議会優先」を金科玉条のごとく掲げて、赤字問題を抱える水産施設の情報公開を後回しにしてきた八戸市。この問題に限らず、議会を理由に情報を公開しない姿勢は「市民軽視」と映る。議会を隠れみのとして、市にとって不都合な情報を隠蔽(いんぺい)する温床ともなりかねない。[br] 市民は正確な情報を伝えられてこそ、代表である市議に自らの思いを託すことができるはずだ。肝心の情報を隠されたままの議会審議は「市民不在」であり、どれほどの意味があろうか。「議会で議決されてから市民に公表する」との市水産事務所の姿勢は、市民の「知る権利」をないがしろにすること甚だしい。[br] 同事務所は11日の取材に、委員会答弁以上の回答を拒み、これからも情報公開や報道対応の姿勢を変えない方針を示した。改める気はないのだという。なぜこうも、かたくななのか―。そこには簡単に崩せない岩盤構造があるのも確かだ。[br] 例えば、市は月1度の「協議会」という会合で市議に情報を伝えている。市が情報公開に後ろ向きな背景には、この協議会前に報道されると、目くじらを立てる一部市議の存在がある。[br] 加えて、すべての情報をいっしょくたにして伝える協議会方式は、情報公開や報道対応の手間を省ける市と、情報を一般市民より早く受け取れる市議の双方にとってメリットが大きい。[br] この協議会に象徴される両者のもたれ合いは、長年にわたって築かれた情報囲い込みの岩盤構造であり、半面で、市民にとっては必要な情報が適時・適切に伝わらないというデメリットとなるのは当然だ。[br] 市議会が市民への情報公開の妨げとなってはならない。情報技術が発達した昨今、市から市議への伝達手段はいくらでもあるはずだ。市と市議会は今こそ古き慣習を改め、「市民ファースト」に立ち返れ。[br]