【大間原発工事延期】「またか」疲弊、落胆の地元経済関係者

大間原発の安全対策工事開始時期の見直しを説明する倉田一秀大間現地本部長(中央)=10日、大間町役場
大間原発の安全対策工事開始時期の見直しを説明する倉田一秀大間現地本部長(中央)=10日、大間町役場
「またか、という思い。工事を当てにしたいけど、当てにならない」 電源開発(Jパワー)が大間原発の安全対策工事開始時期を2年延期したことに、町内で宿泊施設を営む工藤潮一さん(59)は落胆の色を見せた。 経営する宿泊施設の一つ「みちのくホテル大.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 「またか、という思い。工事を当てにしたいけど、当てにならない」 電源開発(Jパワー)が大間原発の安全対策工事開始時期を2年延期したことに、町内で宿泊施設を営む工藤潮一さん(59)は落胆の色を見せた。[br] 経営する宿泊施設の一つ「みちのくホテル大間亭」は原発の建設作業員の利用を当て込み、父親が十数年前に建設した。客室は30室。開業後の稼働率は約8割を維持していた。[br] だが、東日本大震災で工事が止まり、状況が一変。現在の稼働率は3割程度にとどまる。4度目の工事延期発表に「延期の繰り返しで結局工事が進まない。気持ち的には諦めている部分がある」と肩を落とす。[br] Jパワーによると、原発建設に関わる作業員は、震災直前が1日当たり延べ1700人とピークだった。今は300人にまで落ち込んでいる。[br] Jパワーに納品する物資などを仲介する北通商工事業協同組合の泉賢治理事長は「何百人という組合員の生活もあり、早期の工事実施を願っている」と祈るように語りつつ、「規制委員会の審査が進んでいないこともあり、延期は仕方ない」と複雑な心境を明かした。[br] 「地元の皆さんの期待に応えられず、心からおわび申し上げる」。10日、大間町役場で開かれた町議会大間原子力発電所対策特別委員会で、Jパワーの倉田一秀・常務執行役員大間現地本部長は頭を下げた。[br] 疲弊する町経済を踏まえ、引き続き規制委の審査に影響しない部分の工事を前倒しするなどの方針を示したが、町議からは「これ以上延ばすことがないように。(原発を必要とする)町民の思いも変わってくる」などと厳しい声も上がった。[br] 原発が稼働していれば、今頃は数十億円の固定資産税が入り、さまざまな事業に充当されるはずだった。金澤満春町長は「こうした状況になっているのはマイナス。会社は重く受けてもらいたい」と注文した。[br] 早期の工事を望む声がある一方、市民団体「大間原発に反対する会」の佐藤亮一代表は「原発そのものが必要ない」と主張。大間原発の建設差し止めを求めて訴訟を起こしている函館市の市民団体と連携するなどして、今後も建設中止を求めて活動していく方針を示した。大間原発の安全対策工事開始時期の見直しを説明する倉田一秀大間現地本部長(中央)=10日、大間町役場