天鐘(9月9日)

お天気キャスターでエッセイストの倉嶋厚さんには台風についての記述も多い。大きく渦巻く雲を見るたびに〈水蒸気が燃える〉との表現が頭に浮かんだそうだ▼無論、たとえだろうが、実感はこもる。「海水を太陽が燃やして」巨大なエネルギーが陸地を襲う。台風.....
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 お天気キャスターでエッセイストの倉嶋厚さんには台風についての記述も多い。大きく渦巻く雲を見るたびに〈水蒸気が燃える〉との表現が頭に浮かんだそうだ▼無論、たとえだろうが、実感はこもる。「海水を太陽が燃やして」巨大なエネルギーが陸地を襲う。台風10号にそんなイメージが重なった。過去最大級の渦巻きは、九州各地に大きな爪痕を残して去って行った▼台風一過である。一晩明けて、悲惨な姿の被災地に胸を痛めながら、この国の天災とその対策にさまざまに思いを巡らせた。早めの避難で命拾いした人が多かったのは不幸中の幸いか。的確な進路予想が功を奏したのだろう▼一方で、避難所については課題を残す。感染防止のため受け入れを中止せざるを得なかったところがあったそうだ。大事なことは臨機応変。改めて強く感じた、コロナ禍での災害対応の難しさである▼嵐が過ぎ去った後の秋空は、空気が澄み渡る。折しも昨日、自民党の総裁選が告示された。この中の一人がまさに次の新しい政治の空気をつくっていくのだろう―そんな感慨も抱きながら、3氏の訴えに耳を傾けた▼結果は既に明らかだとも言われている。だがここは大いなる熱とエネルギーで主張を戦わせてほしい。誰もが願うのは雨の日も嵐の日も安心できる暮らし。国難の中、「託せる人」は誰か。たとえ投票権はなくとも、国民は見ているはずだ。