契約終了、来日もできず… コロナ禍、ALT確保に苦慮

新型コロナウイルスの影響により、ALTの人材確保が難しくなっている(写真はイメージ)
新型コロナウイルスの影響により、ALTの人材確保が難しくなっている(写真はイメージ)
新型コロナウイルスの影響により、教育現場でALT(外国語指導助手)をはじめとする外国人の人材確保が困難になっている。入国制限の長期化に加え、夏季の契約更新期も重なり、北奥羽地方では28市町村のうち、少なくとも八戸など15市町村でALTが減少.....
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 新型コロナウイルスの影響により、教育現場でALT(外国語指導助手)をはじめとする外国人の人材確保が困難になっている。入国制限の長期化に加え、夏季の契約更新期も重なり、北奥羽地方では28市町村のうち、少なくとも八戸など15市町村でALTが減少する見込み。本年度から小学校で高学年を対象に英語が教科化されるなど、現場のニーズが高まる中、担当者は対応に苦慮している。[br] ALTらの採用経路は複数あるが、多くは文部科学省や総務省などが主導する「JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)」を利用している。窓口の自治体国際化協会(東京)に対し、各教育委員会が採用希望人数を伝え、紹介を受ける仕組みだ。[br] 例年は7~8月に更新期を迎え、約2カ月前の5月ごろから仲介を開始。各教育委員会は2学期が始まるまでに、採否の決定や来日後の生活支援など各種手続きを行う。[br] 本年度は開催予定だった東京五輪の影響で、仲介は7月中旬以降にずれると見込まれていた。だが、同協会からの仲介連絡は8月末の時点でもストップしたままだ。総務省の担当者は「全国で約2300人の新採用を予定しているが、外国人はコロナの影響で原則入国できない状態。移動が物理的に困難な以上、仲介は難しい」と話す。[br] 青森県内では今夏、約60人分をJETプログラムに申請しているが、確保の見通しは立っていない。八戸市では7月までに契約を終えた4人に替わり、新たに6人を迎えて20人態勢とする予定だったが、現在は残る14人と日本人教員でカバーしている。[br] 元々の採用人数が少ない自治体では、さらに影響が大きい。久慈市では3人のうち、1人が3月にいったん帰国して8月まで再来日できず、残る2人も9月末までに契約を終える。市教委は「1人が復帰できても、全ての小中学校を担当させるのは負担が重すぎる」とし対応を検討する。[br] 既に契約済みだった人材が来日できないトラブルはほかの自治体でも起きており、佐井村では唯一のALTが一時帰国後、再来日できないまま任期を終了した。野辺地町では国際交流支援員の外国人男性に1学期から“代打”をお願いしている状態。町教委は「本来は2人態勢の予定だったが、現時点では厳しい。子どもたちが生の英語に触れる機会が少なくなってしまうのは残念だ」と嘆く。[br] 一方、むつ市では5人のうち、契約終了予定の1人が帰国のめどが立たず、急きょ任期を1年延長するなど、ALT側もコロナ禍に翻弄ほんろうされている。青森県内のJET事業を統括する県誘客交流課によると、自治体だけでなく、契約中のALTからも毎日のように相談が寄せられているという。同課の担当者は「市町村では補充の見込みが分からないこともある」と指摘。国が9月末までに示すとみられるALT確保に関する方針を注視する。新型コロナウイルスの影響により、ALTの人材確保が難しくなっている(写真はイメージ)