天鐘(9月2日)

デジタル時計を見て同じ数字が並んでいると、得した気分になる。切りがいいナンバーの車が走っていると、持ち主のこだわりを想像する。日常の生活で「ゾロ目」「キリ番」に出くわすと、何となく心をくすぐられる▼宝くじだと胸の内は複雑だ。希少な番号を凝視.....
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 デジタル時計を見て同じ数字が並んでいると、得した気分になる。切りがいいナンバーの車が走っていると、持ち主のこだわりを想像する。日常の生活で「ゾロ目」「キリ番」に出くわすと、何となく心をくすぐられる▼宝くじだと胸の内は複雑だ。希少な番号を凝視する。当せん確率が変わらないのに、運を使い果たした感覚に陥るのは心の綾(あや)。わざわざ指定して購入するファンもいるというが。きょうは「宝くじの日」▼なぜ人は宝くじを買い求めるのか。叱られそうだが、答えは「夢があるから」。住宅ローンを返済し、車を買い換えて…。思いを巡らす妄想が購入意欲を高める。法政大の島宗理教授の解釈が興味深い▼僥倖(ぎょうこう)によって叶えられる夢は誰もが見ることができる。しかし宝くじが手元になければ現実感が伴わない。心願成就のほどが不明だとしても売り場に足を運ぶ。行動分析学に基づく説明である▼ジャンボ宝くじの1等の確率は千万分の1とも。天文学的な数字だが、当たり外れだけで極論すれば2分の1。そして100%の人が夢想を楽しめる。明るい未来を想像して気負わず吉報を待つとしよう▼追伸。当否を確認すると大概の夢は泡と消える。チェックを後回しにしがちなのは購入行動と逆の心理的作用だという。昨年の年末ジャンボの高額当せんで未換金は15本(1億円以上、7月末現在)。夢はどこかに眠っている。