映画「浅田家!」10月2日公開 野田村で写真返却の浅田さん原案

主人公を演じる二宮和也さん((C)2020「浅田家!」製作委員会)
主人公を演じる二宮和也さん((C)2020「浅田家!」製作委員会)
東日本大震災後、野田村で津波に流された写真を洗浄して返却するボランティアを続けた、写真家浅田政志さん(41)=東京都=をモデルとした映画「浅田家!」が10月2日に全国公開される。主演は嵐の二宮和也さん。被災者に寄り添った実際の活動などを題材.....
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 東日本大震災後、野田村で津波に流された写真を洗浄して返却するボランティアを続けた、写真家浅田政志さん(41)=東京都=をモデルとした映画「浅田家!」が10月2日に全国公開される。主演は嵐の二宮和也さん。被災者に寄り添った実際の活動などを題材に、家族の絆や写真の持つ力を描く。浅田さんは、映画公開を機に「さまざまな支援の形があることや、写真アルバムの大切さを伝えたい」と話す。[br] 津市出身の浅田さん。震災当時、八戸市の「はっち」に写真を展示していたことをきっかけに、被災地でのボランティアを始めた。[br] 野田を訪れたのは震災1カ月後で、初日は支援物資の仕分けを手伝った。被災者の支えになりたいと強く思いながらも、生々しく残る震災の深い爪痕を目の当たりにし、「写真家として力になれない無力感があった」という。[br] 写真を洗浄して返却する取り組みを知ったのは、その日の夜だった。「写真を丁寧に洗う、地元の人たちを見てはっとした」。翌日から活動に加わり、その後も約2年間、定期的に支援に通った。[br] 写真返却は野田ばかりでなく、複数の被災地で自然発生的に始まったという。そのノウハウや情報を共有できないかと考え、岩手、宮城両県の各地を取材し、同映画の原案の一つとなった「アルバムのチカラ」を出版し、全国に伝えた。[br] 野田で見つかった写真は約8万枚。このうち約6万枚が持ち主の元に返った。現在でも青森県や関西の個人・団体で組織するボランティアのネットワーク「チーム北リアス」が写真を保管し、村内で定期的に返却会を開いている。[br] 返却のペースは鈍っているものの、それだけを目的としない「お茶会」として開催している。メンバーで大阪大人間科学研究科助教の宮前良平さん(28)は「自分のものが見つからなくても、住民が写真を見ながら思い出を語り合う場になっている」と話す。[br] 活動が続く地域は珍しいといい、浅田さんも「心に大きな傷を負い、9年たってやっと写真が見られるようになった被災者もいる」と意義を強調する。[br] もう一つ、浅田さんが伝えたいのは、写真をプリントしてアルバムにする大切さだ。近年はスマートフォンの普及で撮影が手軽になった一方、プリントする機会は減った。「津波に漬かった写真も、プリントしていたからこそ残せた。その価値を見直してほしい」と訴える。[br][br] 映画「浅田家!」とは[br] 浅田政志さんが被災地での写真返却活動を記録した「アルバムのチカラ」、自身の家族を被写体にした「浅田家」の2作品が原案。二宮和也さんのほか、妻夫木聡さん、菅田将暉さん、黒木華さんらが出演する。中野量太監督。東宝配給。主人公を演じる二宮和也さん((C)2020「浅田家!」製作委員会)