爽快「緑のカーテン」観光資源 に 田子唯一のホップ園地で茶会

田沼義行さんのホップ畑で開かれたお茶会。“緑のカーテン”に包まれ、参加者の笑い声が響いた
田沼義行さんのホップ畑で開かれたお茶会。“緑のカーテン”に包まれ、参加者の笑い声が響いた
青森県南の三戸郡や岩手県北地方で半世紀前から栽培されてきた、ビールの原料「ホップ」。近年はビールの消費量減少などから生産者離れに歯止めがかからず、産地は苦境に立たされている。そんな中、田子町で唯一の栽培農家となった田沼義行さん(63)の園地.....
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 青森県南の三戸郡や岩手県北地方で半世紀前から栽培されてきた、ビールの原料「ホップ」。近年はビールの消費量減少などから生産者離れに歯止めがかからず、産地は苦境に立たされている。そんな中、田子町で唯一の栽培農家となった田沼義行さん(63)の園地で今月5日、一風変わった「お茶会」が開かれた。参加者は、高さ5メートルに成長したホップ畑の小陰で食事を楽しみ、観光資源としての活用の可能性を探った。“緑のカーテン”が広がる美しい光景を後世に残そうと、生産者と地域の人たちが力を合わせる。[br] ホップは北国の冷涼な気候に適し、雑穀に代わる換金作物として導入が進んだ。三戸郡や岩手県北地方の生産者で組織する「岩手県北ホップ農協」(二戸市、中里照夫組合長)は1964年設立で、当初は400~500戸が加入し、ピークの90年ごろには年間約250トンを生産した。だが、2019年は生産量約50トン、加入者が軽米町14戸、岩手町1戸、田子町1戸の計16戸にまで落ち込んだ。[br] 同農協の横島敏彦参事(54)は農家数減少の理由として、▽海外産ホップの輸入量増加▽大手ビールメーカーとの契約栽培の場合、生産調整の可能性がある▽設備の初期投資が必要―などを列挙。「新規参入にハードルがあり、栽培をやめる人の生産分をどうカバーするかを考えなければいけない状況だ」と説明する。[br] 田子町では、10年ほど前まで10戸弱の生産者が残っていたが、年々減少。最後の1戸となった田沼さんは「ほかの園地と状況を比べたり、励まし合ったりできない。1戸でやるのは大変だ」と苦労を漏らす。[br] お茶会を提案したのは、同町のタプコプ創遊村内で「Takko cafe」を経営する川名美夏さん。数年前からホップ畑に興味を持ち、農作業を手伝ってきた。“緑のカーテン”の美しさに魅力を感じていたといい、「まるで南仏のプロヴァンス地方のような素晴らしい光景で、夏に足を踏み入れると気持ちがいい。魅力を多くの人に知ってもらいたい」と今回の企画に込めた思いを話す。[br] 当日は川名さんの友人のフードコーディネーターが地元産品を使ったフルーツサンドなどを用意。町内や八戸市、三戸町などから9人が集まり、ホップ畑の真ん中で食事と会話を楽しんだ。[br] 「たっこ・ツーリズム受入農家の会」の会長も務める田沼さんは「実際にホップ畑を見たことのある人は少ない。農作業体験も観光資源になるのではないか」とグリーンツーリズムへの活用を期待。クラフトビール人気の高まりもあり、「自分が元気で指導ができるうちに新しく栽培する人が出てくれたら」と願った。田沼義行さんのホップ畑で開かれたお茶会。“緑のカーテン”に包まれ、参加者の笑い声が響いた