新型コロナウイルスの感染予防対策が学校の業務を圧迫している―。岩手県教職員組合が県内の市町村立小中学校を対象に実施したアンケートで、こうした調査結果が明らかになった。共同生活が基本の学校で、予防対策や「3密」の回避に苦慮する現場の実態が浮き彫りになっている。[br] 同組合は、計10項目のアンケートを県内の444校に配布し、6月1~12日に回収。結果を分析して冊子にまとめた。回答数は427校で、回答率は98%。[br] それによると、県全体の半数近くに当たる48%が「消毒作業等の感染予防対策が通常業務を圧迫している」と回答。学校現場からは、「消毒に必要な物品や人員が不足している」「再流行に備えた対応方針を行政に示してほしい」といった声が多く寄せられた。[br] また、学校内の環境を巡り、「教室や職員室では『3密』を避けられない」「感染予防を完全に行うことは無理」など、学校だけでの対応に限界があることを訴える意見も多かった。[br] 県北地方の市町村別で見ると、「業務を圧迫している」と答えた割合は軽米町100%、一戸町60%だったのに対し、洋野町37%、久慈市35%、二戸市17%などとなり、地域ごとにばらつきが見られた。[br] このほかの項目のうち、「授業や行事、日常指導や学級づくり等が困難になっている」と答えたのは県全体の46%、「子どもや保護者の間に差別・偏見・格差が出てきている」は6%だった。[br] 同組合は、今回の調査結果を基に提言をまとめ、関係機関に学校現場の声として届ける方針。