【超高齢社会の先へ】第3部 介護の未来(1)

「一生懸命頑張って福祉の充実に貢献したい」。介護施設で働きながら介護福祉士を目指すペルティウィさん(左)=6月下旬、むつ市(施設提供) 
「一生懸命頑張って福祉の充実に貢献したい」。介護施設で働きながら介護福祉士を目指すペルティウィさん(左)=6月下旬、むつ市(施設提供) 
深刻な人手不足に直面している介護の現場では、人材確保やスタッフの負担軽減に向けて新たな技術の導入や啓発活動、人材育成などの取り組みを展開している。第3部では、介護現場で活躍するロボットや情報通信技術(ICT)を活用した医療と福祉の連携、介護.....
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 深刻な人手不足に直面している介護の現場では、人材確保やスタッフの負担軽減に向けて新たな技術の導入や啓発活動、人材育成などの取り組みを展開している。第3部では、介護現場で活躍するロボットや情報通信技術(ICT)を活用した医療と福祉の連携、介護福祉士を目指す学生や外国人ら将来の担い手にスポットを当てる。全国よりも早いスピードで高齢化が進む北奥羽地方の介護の未来に必要なものとは―。[br]  ◇   ◇[br] 担い手が不足する介護の現場で注目されているのが外国からの“労働力”だ。最近は特に東南アジア圏からの技能実習生の受け入れが増加。施設にとっては人手不足を補うことができ、実習生は働きながら介護技術を身に付けられるというメリットがある。[br] 一方、宗教や文化、気候の違いに悩むケースも少なくない。介護福祉士国家試験の合格を目指して奮闘するインドネシア人のペルティウィさん(25)は、2017年からむつ市の社会福祉法人青森社会福祉振興団が運営する介護施設で働きながら介護技術や知識を学んでいる。インドネシアでは看護師として働いていたが、介護技術も身に付けたいと考え、経済連携協定(EPA)に基づき介護福祉士候補生として来日した。[br] いざ現場に出てみると、高齢者へのケアは毎回同じとは限らず、常に臨機応変さが求められた。「利用者によって、いろんな対応を覚えなければならいのが大変」と胸中を明かす。[br] ケアだけでなく日本語を勉強中のペルティウィさんにとっては方言も壁の一つ。コミュニケーションの難しさを感じるときもあるが、「分からないことは素直に伝えるようにして、日頃から利用者やスタッフといい人間関係を築けるようにしている」と、自然体を心掛けている。[br] 来日当初は、仲間の候補生もいたが今は1人。心細いときもあるが、支えとなっているのは「介護を学びたい」という熱意と、共に働くスタッフの存在だ。「スタッフはもちろん、利用者もみんな優しい。本当に貴重な経験を積ませてもらっている」と感謝。日本式の介護を身に付け、いつか故郷の医療福祉の充実に貢献しようと考えている。「古里のためにも、今は仕事も勉強も一生懸命頑張りたい」と力を込める。[br]   ◇   ◇[br] 同振興団では09年にEPAに基づく外国人の受け入れを始め、これまでにインドネシアから12人、ベトナムから5人を受け入れたが現在、同振興団の施設で働くのは1人。冬の寒冷な気候に耐えられなかったり、礼拝ができなかったりと、さまざまな理由から帰国する人もおり、定着が難しいという課題がある。[br] 「外国人と共に働くには、受け入れる側も相手の国の文化をよく理解しておく必要がある」と強調するのは、ペルティウィさんの指導に当たる介護士の澤畑美樹さん(40)。来日当時は「利用者に受け入れてもらえるだろうか」「言葉や文化の違いは大丈夫か」など、職員にも戸惑いや不安があったという。[br] しかし、いざ一緒に働いてみると、文化や宗教の違いを吹き飛ばすほど、ペルティウィさんの仕事への熱意が光った。外国人の受け入れは単なる人手不足の解消ではない。一生懸命働き、熱心に学ぶ姿は利用者に元気を与え、共に働く介護スタッフにとっても大きな刺激になっている。澤畑さんは「笑顔がすてきで利用者さんのうけもいい。なによりも『介護を学びたい』という熱意と利用者への思いやりが強い」と評価。ペルティウィさんの今後の活躍に期待を寄せる。「一生懸命頑張って福祉の充実に貢献したい」。介護施設で働きながら介護福祉士を目指すペルティウィさん(左)=6月下旬、むつ市(施設提供)