「ジュノハート」20年産販売終了 ブランド化へ模索続く

全国デビューを果たした「ジュノハート」。販売面で課題が浮き彫りとなった=7月3日、東京(代表撮影)
全国デビューを果たした「ジュノハート」。販売面で課題が浮き彫りとなった=7月3日、東京(代表撮影)
青森県産サクランボの独自品種「ジュノハート」の2020年産販売が終了した。今年は全国デビューを果たし、販売関係者からは「見た目のインパクトが良い」といった消費者への訴求力を評価する声が上がった。一方、原価高による店側の負担増や、高級路線以外.....
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 青森県産サクランボの独自品種「ジュノハート」の2020年産販売が終了した。今年は全国デビューを果たし、販売関係者からは「見た目のインパクトが良い」といった消費者への訴求力を評価する声が上がった。一方、原価高による店側の負担増や、高級路線以外の販売方法など課題が浮上。来年に向け、県や関係機関は販売戦略の構築を図る考えだ。県産ブランドとして全国の消費者や市場に定着できるか真価が問われている。[br] 20年産は7月1日から全国で発売を開始。デビュー当日は各販売店であっという間に完売し、順調な滑り出しを見せた。[br] 伊勢丹新宿店(東京)は、最上級品「青森ハートビート」の2粒入りパック(税込み1080円)など生果を7月20日まで販売。担当バイヤーは「ギフトとしては十分に売れる」と評価した。[br] 高級青果を取り扱う新宿高野(同)は、果実を使用したケーキ(1188円)とパフェ(2200円)2種類を販売し、いずれも完売した。同社の久保直子広報マネージャーは「女性を中心に幅広い年齢層で受け入れられた」と振り返る。[br] 多くの販売業者が売れ行きに手応えを感じた半面、価格設定に一部店舗から不満の声も漏れた。[br] 都内で生果を販売した青果店の男性店長は「今の原価で利益につなげるのは厳しい」と打ち明ける。ジュノハート6、7粒を1パック(1080円)で販売していたが、原価は約5割に上った。「まとめ買いする人が多く毎日完売だったが、原価をもう少し低くしたいのが本音」と嘆いた。[br] 新宿高野の久保広報マネージャーも「今の原価では商品の種類や量を増やすのは難しい」と指摘しつつ、「比較的安い規格外の果実をケーキなどに使えるようになれば扱いやすくなる」と求める。[br] ブランド化を図る上で、価格設定に加え、リピーターを確実に獲得する販売戦略が重要となる。[br] 全農県本部りんご部の坂本浩部長は「販売路線の中心であるギフトに限らず、さまざまな売り方を考えていくことが必要」と強調する。[br] 県はジュノハートをモチーフとした企画商品の開発に協力するなど、普及拡大に努めてきた。今後、販売業者に聞き取り調査を行い、今年の売れ行き状況や意見を基に、来年産の販売に向けた課題を整理する。[br] 県農林水産部の赤平次郎次長は「今年はさまざまな形でPRすることができた」とした上で、「ブランド価値を育てながら、さらに多くの消費者に届きやすくする仕組みをつくりたい」と意欲を見せた。全国デビューを果たした「ジュノハート」。販売面で課題が浮き彫りとなった=7月3日、東京(代表撮影)