天鐘(7月31日)

八戸地方が日照りに苦しんでいるのを見かねた法霊(ほうりょう)という修験者が、雨乞いの祈祷(きとう)をした。だが、雨は降らず「かくなる上は」と三崎社内の池に身を投じた。すると忽然(こつぜん)と雲がわき、篠(しの)突く雨が数日降り続けた▼悪事災.....
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 八戸地方が日照りに苦しんでいるのを見かねた法霊(ほうりょう)という修験者が、雨乞いの祈祷(きとう)をした。だが、雨は降らず「かくなる上は」と三崎社内の池に身を投じた。すると忽然(こつぜん)と雲がわき、篠(しの)突く雨が数日降り続けた▼悪事災難を退け五穀豊穣(ほうじょう)をもたらした修験者を祀(まつ)る「法霊大明神」。現龗(おがみ)神社の縁起である。自然災害への畏敬や災難消除、無病息災を願う法霊社祭礼が新羅神社、神明宮を加えて「三社大祭」へと発展した▼今年は発祥から300年目の大きな節目。今日から8月4日まで、丹精込めて自作した豪華絢爛な山車の運行が展開されるはずだったが、新型コロナウイルスの影響で神社の祭礼行事が関係者のみで執り行われる▼疫病や災害の諸災を免れ、世の安寧を願う大祭もコロナ禍を前に規模の縮小を余儀なくされた。だが、大祭本来の趣旨を再確認、賑わいだけを求めがちなイベント志向を見つめ直す時期だったのかもしれない▼唯一感染ゼロだった岩手県からもついに2人の感染者が(盛岡市、宮古市)出た。国内は連日千人の大台が続き、東京以外の愛知、大阪、福岡など都市部も拡大の一途だ▼国が22日から強引に始めた観光支援事業でさらなる感染拡大は必至。だが、重大局面に安倍首相は姿を見せず、緊急事態宣言も判断停止状態で、野党からは“人災”の批判も。法霊さまの献身的な気概と勇気、責任感に思わず頭が下がる。