再処理工場、正式合格 6年半経て審査書決定/21年度上期完工厳しく

原子力規制庁の長谷川清光安全規制管理官(左)から許可証を受け取る増田尚宏社長=29日、東京都内
原子力規制庁の長谷川清光安全規制管理官(左)から許可証を受け取る増田尚宏社長=29日、東京都内
原子力規制委員会は29日の定例会合で、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)が新規制基準に適合していると認める「審査書」を決定した。原燃の申請から6年半を経て審査に正式合格し、核燃料サイクルの中核を担う工場は完成に一歩近づいた格好だ.....
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 原子力規制委員会は29日の定例会合で、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)が新規制基準に適合していると認める「審査書」を決定した。原燃の申請から6年半を経て審査に正式合格し、核燃料サイクルの中核を担う工場は完成に一歩近づいた格好だ。青森県内の原子力施設で審査に合格したのは、隣接する原燃のウラン濃縮工場に次いで2例目。[br] ただ、原燃には安全対策工事の本格実施に必要な詳細設計の認可(設工認)審査といった手続きも残され、2021年度上期を目指す完成目標の延期は避けられない見通し。原燃の増田尚宏社長は会合後、現時点で目標を変えないと強調しつつ、「(達成は)簡単ではない」とも述べた。[br] 規制委は14年1月から113回の審査会合を重ね、高レベル放射性廃液の沸騰などを想定した重大事故対策や、地震や竜巻をはじめとする自然災害対策の妥当性を確認した。今年5月に事実上の合格証に当たる「審査書案」を了承した後のパブリックコメント(意見公募)には30日間で延べ765件が寄せられた。[br] 意見を受けて規制委は、太陽表面の爆発に伴う影響を自然現象として整理し直すなど微修正した原燃の補正申請書を新たに反映した。一方で経済産業相からも意見を聴取。サイクル中核施設で初の合格判断という観点から、エネルギー基本計画との整合性について「異存はない」とする回答を得た。[br] 会合で委員からは、審査の過程で浮き彫りになった原燃の品質保証体制を巡る問題に関して、今後も保安検査などを通じて日常的に確認していくべきとの意見が出た。最終的に5人の委員全員が審査書決定に賛成した。[br] 審査合格を踏まえて青森県は今後、関係閣僚を交えた「核燃料サイクル協議会」の開催を、政府に正式要請するとみられる。[br] 規制委は同日、再処理工場と共に審査を進めていた原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理施設についても、新基準に適合したとする審査書案を了承した。原子力規制庁の長谷川清光安全規制管理官(左)から許可証を受け取る増田尚宏社長=29日、東京都内