【連載・東京パラ「リスタート」】(4)天摩由貴(ゴールボール女子)

日本代表内定後の本紙取材に応じる天摩由貴=昨年12月、東京都内
日本代表内定後の本紙取材に応じる天摩由貴=昨年12月、東京都内
久々の強化合宿で投げたボールは地を這(は)うことなく、空を切ったという。「みんなは普通に転がせていた。私って、やっぱり才能ないのかな」。ゴールボール女子日本代表の天摩由貴(29)=八戸市出身、マイテック=は、3カ月弱のブランクを笑い飛ばした.....
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 久々の強化合宿で投げたボールは地を這(は)うことなく、空を切ったという。「みんなは普通に転がせていた。私って、やっぱり才能ないのかな」。ゴールボール女子日本代表の天摩由貴(29)=八戸市出身、マイテック=は、3カ月弱のブランクを笑い飛ばした。[br] ゴールボールは鈴の入ったボールを転がして、音を聞き分けながらゴールを狙う競技。体を張ってボールを止める場面もあり、「以前は練習で男子のボールを受けてもそれほど痛くなかった」。ただ、再開後の合宿では「女子のボールすら痛かった」。ブランクによる感覚の違いに驚いた。[br] 本来、強化合宿は1、2カ月先まで予定が決まっているが、最近は練習場所の確保が難航し、翌週の予定すら暫定的。それでも、「仲間に会えてプレーできること自体がうれしい」と声色は穏やかだ。[br] 東京パラリンピック出場を目指し、ロンドンパラで出場した陸上から転向した。延期が決まった3月下旬は、本番に向けて徐々に気持ちを高めていく時期だったが、「私だけ、日本だけの問題ではない。仕方がないと思うしかなかった」。[br] 頻繁に行ってきた強化合宿の予定は白紙となり、自宅で筋力トレーニングを続ける単調な日々。「(全体での)練習が好きだった。一人だと気分が乗らない日もあった」。ただ、「なるようになる」と自らに言い聞かせ、必死にモチベーションを保った。[br] 自粛生活にも慣れた5月には、代表メンバーに週1回、通話アプリを利用したミーティングを提案し、採用された。一緒にトレーニングや雑談をすることで「みんなの気分転換になったらいいと思った」からだ。仲間からは「一人だとつらいトレーニングも、一緒なら頑張れる」と評判も良かったという。[br] 都内では再び感染者が増加に転じ、取り巻く環境は安心できない。ただ、最近は「1年も余分に時間を頂いた。できることは増える」と前向きに考えられるようになった。目標は、東京パラを志した6年前から変わらない。「メダルを目指して進んでいきます」。日本代表内定後の本紙取材に応じる天摩由貴=昨年12月、東京都内