【連載・八戸三社大祭「伝統の原点へ」】インタビュー編(1)「先人の思い、将来に」龗神社宮司・坂本守正さん(70)

「先人たちの思いを将来に伝えていけるかが問われている」と話す坂本守正さん=8日、八戸市
「先人たちの思いを将来に伝えていけるかが問われている」と話す坂本守正さん=8日、八戸市
今年で300年の節目を迎える八戸三社大祭。関係者は新型コロナウイルスの影響で規模縮小を余儀なくされる一方、祭りの起源となる神社の祭礼行事を行い、歴史を紡ぐ。発祥から今日までの歩みを伝える龗(おがみ)神社で、28代宮司を務める坂本守正さん(7.....
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 今年で300年の節目を迎える八戸三社大祭。関係者は新型コロナウイルスの影響で規模縮小を余儀なくされる一方、祭りの起源となる神社の祭礼行事を行い、歴史を紡ぐ。発祥から今日までの歩みを伝える龗(おがみ)神社で、28代宮司を務める坂本守正さん(70)は、一連の決断を特別な思いで受け止める。参加できない人々の悲しみに心を痛めつつも、祭りの意義を見つめ直す契機と捉え、伝統を築き上げてきた先人たちの思いにあらためて光を当てる重要性を強調する。[br][br] ―八戸三社大祭は今年で300年目を迎える。[br][br] 豊作への感謝と祈願のために始まり、陸奥国八戸総鎮守である法霊社(現龗神社)の祭神に、神輿(みこし)渡御にて自らが治める里の様子を見ていただくものと伝えられてきた。[br] 300年間継承してきた先人たちの尽力とその思いがあって、これまで大祭を執り行うことができた。その尊い精神性をどのような意味を持って将来につなげていけるかを、今回の節目に問われているように感じている。[br][br] ―新型コロナウイルスの感染拡大で、行事は縮小される。[br][br] 三社大祭の神事とは前夜祭の山車展示、各神社の祭典、行列運行、中日合同運行、後夜祭までを含む。今回は、最も重儀である例祭という最小限の神事は、どんな状況においても斎行されるべきであると考え、付帯行事でもある神社行列などを中止とした。ただ、行列を楽しみにしていた人の心情や経済活動への影響は大きく、地域の一住民としても心を痛めている。[br] 神社行列では、進学や就職などで、大祭に参加するのを最後と考えていた人もいるだろう。どのような気持ちでこの決定を受け止めたのか思うと、やり切れない思いがある。[br][br] ―規模縮小をしたことで 見えたものは。[br][br] 合同運行を取りやめたことで、三社大祭自体が中止となったと受け止める人も多く、あらためて祭りにおける神事というものが形骸化していると再認識した。神社行列がいわゆるイベント的要素として捉えられている現状を懸念し、あらためて本来の意義について理解を広める必要性を感じている。[br][br] ―祭りの在り方とは。[br][br] 氏子や山車組のためばかりでなく、八戸市全体の発展と安寧(あんねい)を祈願する場として三社大祭は存在してきた。今後も継承していくためには、市民の参加を欠かすことはできない。一度参加してみて、その経験や祭りの精神を周囲に伝えていくことで、さらに歴史は受け継がれていくだろう。「先人たちの思いを将来に伝えていけるかが問われている」と話す坂本守正さん=8日、八戸市