天鐘(7月25日)

馬鹿、阿呆(あほう)、間抜け、こん畜生…。のっけから下品な言葉で恐縮だが、腹を立て人を罵(ののし)る時に口を突く悪態の数々だ。でも日本語はどんなに程度を下げてもこんな所で、迫力は今一つ▼明治の日本を世界に紹介したポルトガルの軍人モラエスは「.....
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 馬鹿、阿呆(あほう)、間抜け、こん畜生…。のっけから下品な言葉で恐縮だが、腹を立て人を罵(ののし)る時に口を突く悪態の数々だ。でも日本語はどんなに程度を下げてもこんな所で、迫力は今一つ▼明治の日本を世界に紹介したポルトガルの軍人モラエスは「日本には侮辱的な言葉がない。最も下品で『馬鹿』だ」と感心。国語学者の金田一春彦も「欧米は性に関する悪態の連発で、日本語は異質」と指摘▼「背景に事を荒立てない『和』の精神がある」(『日本語を反省してみませんか』)と分析した。その和が新型コロナの感染拡大で大混乱。観光業支援に突っ走る国と感染爆発寸前の都とが対立、溝を深めている▼普段は“予定調和”の根回しで問題が収まる大人の世界だが、今や両者の確執は増幅の一途だ。日本医師会も割り込み、「患者が急増している。勇気を持って支援事業の変更を」と国に忖度(そんたく)なしで異論を表明▼杏林大の山口芳裕教授も「国が言う『東京の医療は逼迫(ひっぱく)していない』は誤り」と一蹴。「想像力を持たない方が『大丈夫だから遊びましょ』と言えば疲弊している医療現場にどう響くか」と痛烈な批判をぶつけた▼謹み深くなどしていられない。官邸批判は“事件は現場で起きている”という刑事ドラマの名台詞に重なる。悪路は狭まりいよいよハンドルさばきは困難を極める。この道でいいのか。お盆を控えてふと不安が増すこの頃だ。