【商業捕鯨再開1年】販路拡大と安定相場不可欠 秋以降、八戸拠点に漁実施も

八戸港拠点の沿岸商業捕鯨で初めて水揚げされたミンククジラ=4月24日、八戸市第1魚市場前岸壁
八戸港拠点の沿岸商業捕鯨で初めて水揚げされたミンククジラ=4月24日、八戸市第1魚市場前岸壁
日本の国際捕鯨委員会(IWC)脱退に伴う商業捕鯨再開から7月で1年が過ぎた。青森県内では千葉県などの事業者が4~6月、八戸、大畑両港を拠点に本格的な沿岸操業を行い、ミンククジラ45頭を水揚げ。鯨肉は八戸市内の解体所で処理され、市場を通じ市内.....
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 日本の国際捕鯨委員会(IWC)脱退に伴う商業捕鯨再開から7月で1年が過ぎた。青森県内では千葉県などの事業者が4~6月、八戸、大畑両港を拠点に本格的な沿岸操業を行い、ミンククジラ45頭を水揚げ。鯨肉は八戸市内の解体所で処理され、市場を通じ市内の小売店にも流通した。八戸魚市場の関係者は、一定の経済波及効果があったとした上で「販路拡大による安定した相場が不可欠」と指摘。地元で鯨肉の加工業者がないなどの課題も挙げる。水産庁は近く追加の捕獲枠を公表する予定で、秋以降に再び八戸拠点の漁が行われる可能性もある。[br] 約30年ぶりの沿岸商業捕鯨では、事業者の外房捕鯨(千葉県)太地町漁協(和歌山県)鮎川捕鯨(宮城県)の小型船4隻が船団を形成した。序盤は不振だったが、5月下旬に大畑港へ拠点を移し、津軽海峡一帯で漁場が形成されてから好調に転じ、同月末までの漁期を6月下旬まで延長、目標の40頭を上回った。[br] 八戸市水産事務所によると、4~6月に市魚市場で取り扱った鯨肉のうち、大半を占めるミンククジラは数量9・5トン(前年同期比4%減)、金額1336万円(12%減)と、調査捕鯨だった昨年より微減した。[br] 金額の減少は、新型コロナウイルスによる外食需要の減少が背景にあるとみられるが、外房捕鯨鮎川事業所の大壁孝之所長は「(八戸以外では)半額に落ち込んだこともあった」と語り、厳しい状況の中でも比較的、持ちこたえたとの認識を示した。[br] 八戸魚市場の越後正幸取締役は、生肉が市内のスーパーといった小売り店で販売されるなど、一定の経済波及効果があったと強調。一方、取り扱う量がまだ少ないことから「販路拡大による安定した相場が不可欠」と指摘。地元で鯨肉の加工業者がないことなども課題に挙げた。[br] 事業者は現在、千葉県沖のツチクジラ漁に従事。8月以降は北海道の網走港や釧路港を拠点に漁を行う予定で、ミンククジラ20頭程度の捕獲を目指す。[br] また、水産庁が7月末までに公表する追加の捕獲枠の頭数によっては9、10月ごろに再び八戸、大畑両港を拠点に操業する意向もあるという。今年のミンククジラの捕獲枠は沿岸操業分100頭、同庁保留分12頭となっている。[br] 八戸拠点の初の商業捕鯨は昨年10~11月に行われたが、しけで操業日数を確保できず、捕獲もゼロだった。八戸港拠点の沿岸商業捕鯨で初めて水揚げされたミンククジラ=4月24日、八戸市第1魚市場前岸壁