時評(7月8日)

新型コロナウイルス感染症が首都圏などで再流行しつつある。東京では新規感染者が100人を超える日が続き、第2波が始まったとも考えられる。状況を早く分析し、有効策を実践すべきだ。感染源は「夜の街」の接待を伴う店が目立つ。この震源地をどう抑えるか.....
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 新型コロナウイルス感染症が首都圏などで再流行しつつある。東京では新規感染者が100人を超える日が続き、第2波が始まったとも考えられる。状況を早く分析し、有効策を実践すべきだ。感染源は「夜の街」の接待を伴う店が目立つ。この震源地をどう抑えるかが対策の鍵を握る。[br] 感染症対策の前提になる迅速で正確な流行の把握が半年たってもできていない。日本で確認された感染者は計2万人を超え、死者も千人に迫る。欧米より格段に少ないが日本はデータ不足で、少ない理由が分からないまま第2波が来たとみられる。[br] 4月までは感染を判定するPCR検査が絞り込まれ、多くの感染者が見逃された。検査を広げれば感染者は増す。第2波ではホストクラブ従業員らの集団検査で無症状の患者が掘り起こされ、急増の一因になった。20~30代の無症状の感染が多くて重症は少なく、様相は異なる。[br] 第1波では患者受け入れ病院が切迫して全国の入院患者が4月末に5千人を上回ったのに対し、現在の入院は千人前後で余裕はある。しかし、市中や地方に波及する兆しは出ており、楽観は許されない。感染源での抑制が緊急に求められる。[br] 検査がこれほど議論になったケースは珍しい。通常の感染症は発症後にうつるので患者の隔離が効くが、新型コロナは無症状でも感染する。PCR検査は感度が7割程度で、すり抜ける偽陰性も残る。実態が霧の中で、対策を困難にしている。[br] それでも検査は充実させるべきだ。無症状の感染者を見つけて宿泊施設や自宅の療養を促せば流行抑制につながる。濃厚接待の店での感染防止は特に必要で、無防備な店に行かない方がよい。病院や介護施設の集団感染は死者を増やす要因で、危険性が高い。それを防ぐため入院患者や職員の検査も進めたい。[br] 外出自粛や休業要請をする緊急事態宣言の再発出に、政府は経済への悪影響を懸念して消極的に見える。3~5月の対策には無駄な自粛があった。同じ規制は繰り返せない。どの対策が有効だったかを検証し、感染拡大防止と経済・社会活動の両立を目指すべきだ。[br] 海外からの入国も増え、第2波が長引く恐れは強い。大半の国は再流行に苦しんでいる。重要なのは医療の備えで、疲弊する現場への支援も欠かせない。薬やワクチンの開発に加え、臨床経験から学んで治療改善、救命率向上を求めたい。政府の専門家会議に代わり発足した新型コロナ分科会の役割は重要だ。