天鐘(7月8日)

小学校の遠足が好きだった。小さな旅に大きな開放感。行き帰りのバスは乗り物酔いのトラブルが付きものだったが、手作りのしおりを手に皆で大合唱。現地で何かを学んだはずだが、楽しい思い出の記憶だけが鮮明に残る▼おやつ選びは真剣。センスが問われる。数.....
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 小学校の遠足が好きだった。小さな旅に大きな開放感。行き帰りのバスは乗り物酔いのトラブルが付きものだったが、手作りのしおりを手に皆で大合唱。現地で何かを学んだはずだが、楽しい思い出の記憶だけが鮮明に残る▼おやつ選びは真剣。センスが問われる。数枚の百円玉を握って駄菓子屋へ。品ぞろえを豊かに、かつ豪勢に。頭の中でソロバンをはじく。本番当日、友達と成果を競った後は、お気に入りを仲良く交換した▼彗星のごとく登場したのは41年前。「うまい棒」は瞬く間に子どもの救世主となった。かつてないサクサクの食感、名に恥じないおいしさ。そして1本10円。遠足に限らず、お世話になった人は多いだろう▼大箱入りを小分けして売っていた時代。皆無に等しかった個包装を導入し、多彩な味の展開を可能にした。持ち歩きやすさは店側も歓迎。常識外れの戦略商品は今や駄菓子の代表格。5年ぶりの新味も注目を集める▼菓子の“革命児”は北奥羽にも。「チョコ南部」は小松製菓(二戸市)の大ヒット作。丸く焼き上げた南部せんべいをあえて砕き、対極にある洋のチョコレートと融合。画期的な発想が伝統に新風を吹き込んだ▼老舗だからこそ反発もあった。まさしく打ち壊したのは既成概念。発売から10年余、堂々の主力商品である。社内に息づく創造への挑戦は続く。未来を切り開く力は、この古里にもある。