4年3カ月ぶり、有効求人倍率1倍下回る/求人数の減少響く「早くコロナ収まって」切実な声

有効求人倍率が1倍を割り込んだ青森県内。八戸公共職業安定所では職を探す市民の姿が見られた=30日、八戸市
有効求人倍率が1倍を割り込んだ青森県内。八戸公共職業安定所では職を探す市民の姿が見られた=30日、八戸市
4年3カ月ぶりに1倍を下回った、青森県内の5月の有効求人倍率。新型コロナウイルスによる経済活動の縮小で新規求人数が大きく減り、公共職業安定所(ハローワーク)管内別では八戸と野辺地を除いて1倍を割り込んだ。一部業種では近年続いた人手不足から一.....
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 4年3カ月ぶりに1倍を下回った、青森県内の5月の有効求人倍率。新型コロナウイルスによる経済活動の縮小で新規求人数が大きく減り、公共職業安定所(ハローワーク)管内別では八戸と野辺地を除いて1倍を割り込んだ。一部業種では近年続いた人手不足から一転し、雇用情勢の急速な悪化が進む現状を反映した格好。全国的な“コロナ不況”は長期化の様相を呈しており、事業者と求職者双方からは「早く新型コロナが収まってほしい」と切実な声が漏れる。[br] 「19年間勤めたホテルを解雇された。次の仕事を探しているが、条件に合う仕事が見つからない」[br] 30日午前、むつ公共職業安定所で求人票を見ていた、むつ市の女性(63)は深いため息をついた。ホテルでは調理や配膳などを担当していたが、新型コロナで経営が苦しくなっているとして5月に入って解雇通知を受けたという。女性は「しょうがないとも思うが、まだ辞めたくなかった」と無念さをにじませた。[br] 八戸公共職業安定所では同日午前、訪れた市民が希望職種をパソコンで検索したり、窓口で職員に相談したりしていた。事務職を希望しているという八戸市の女性(37)は「コロナの影響を直接受けたわけではないが、ただでさえ少ない事務系の求人数がさらに減るのでは。早く収束してほしい」と不安を募らせた。[br] 公共職業安定所別の有効求人倍率(原数値)は、野辺地が1・28倍、八戸が1・25倍と1倍台を維持する一方、三沢(十和田出張所を除く)が0・79倍、むつが0・87倍。いずれも新規求職者数は大きく変わらないものの、新規求人数が大幅に減少しており、事業所側がコロナ禍で採用を控えている現状が浮かぶ。1倍台に踏みとどまる八戸管内でも、5月の新規求人数は宿泊業・飲食サービス業が前年同月比で約6割減、製造業が約4割減と、職種によって新型コロナの深刻な影響を受ける。[br] 首都圏を中心に新規感染者は増加傾向を示す。感染の第2波、第3波への懸念が高まり、先行きが見通せないことが事業者側の採用控えの要因となっている。[br] 県南地方のホテル関係者は「コロナ前まで慢性的な人手不足だったが状況が一変した。コロナさえなければ積極採用したいが、客足が回復しない中で新たな求人を出すのは難しい」と現状を説明。八戸市内の食品加工会社の役員は「観光客向けの土産品や外食向けの食品を製造している企業は経営が厳しい。新たに人員を採用する状況ではない」と苦しい胸の内を吐露する。有効求人倍率が1倍を割り込んだ青森県内。八戸公共職業安定所では職を探す市民の姿が見られた=30日、八戸市