「八戸の地ビール造りたい」63歳元経営者と32歳Uターン青年、二人三脚で活動

「開設準備室」でビール醸造所の情報収集などに当たる山形琢一さん(左)と小倉翔太さん=10日、八戸市鮫町 
「開設準備室」でビール醸造所の情報収集などに当たる山形琢一さん(左)と小倉翔太さん=10日、八戸市鮫町 
八戸の地ビールを造りたい―。そんな思いを胸に、企業の元経営者と東京から地元にUターンした青年が二人三脚で活動している。八戸市の山形琢一さん(63)と小倉翔太さん(32)だ。今春にビール製造・販売の新会社を立ち上げ、現在は醸造所の候補地選定な.....
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 八戸の地ビールを造りたい―。そんな思いを胸に、企業の元経営者と東京から地元にUターンした青年が二人三脚で活動している。八戸市の山形琢一さん(63)と小倉翔太さん(32)だ。今春にビール製造・販売の新会社を立ち上げ、現在は醸造所の候補地選定などを進めている。クラフトビールは個性的な味わいや多様性で人気が高まり、全国的なブームが続く。プロジェクトを通して地域活性化を目指す2人は「チャレンジしがいのある事業」「八戸ならではのビールを生み出したい」と意欲満々だ。[br] 新会社のカネク醸造は今年3月に設立。山形さんが代表取締役、小倉さんが取締役に就任し、2人で活動をスタートさせた。同市鮫町にある住宅に開設準備室を構え、醸造所の適地やクラフトビール市場の情報収集などに当たっている。[br] 山形さんは同市の機械修理業「ハード工業」の元会長で、全くの異業種からの参入となる。クラフトビールに関心を持ったのは、2011年に仕事の関係でドイツを訪れ、“本場”の文化に触れたことがきっかけだった。「日本にはないようなビールがたくさんあった。ビールって面白い」。[br] ビールの奥深さに感銘を受け、当初は製造業者を支援しようと考えた。だが、地元に醸造所はなく、自分自身で一からビールを造ることを決意。新たなビジネスの構想を描く中、出会ったのが小倉さんだった。[br] 当時、小倉さんは通信教育大手のグループ会社の社員で、東京都内で勤務していた。18年の年末に地元の八戸市へ帰省した際、偶然会った山形さんからクラフトビール造りに誘われた。[br] ちょうど地元へのUターンを模索していた時期。会社で営業や人事に携わっていた小倉さんは「自分の経験とノウハウを生かせるのではないか。新たな事業に最初から関われるのも、またとないチャンスだ」と一念発起し、19年3月に会社を退職して八戸に戻った。[br] そこから、プロジェクトは一気に加速していく。山形さんはハード工業の経営から退き、カネク醸造を設立してビール事業に専念した。「不退転の決意。二足のわらじを履くのはやめ、ビール造り一本でいく」。社名のカネクは、祖父がかつて青森市内で営んでいた百貨店の屋号から取った。それだけ思いは強く、新たな挑戦への覚悟を示した。[br] 成功を収めている他都市の醸造所を視察するなどし、“八戸ビール”のコンセプトも固まった。八戸らしさを追求するため、果樹栽培が盛んな南郷地区のブルーベリーやイチゴ、リンゴなどのフルーツを使ったビールを造る予定。今年中に醸造所を開設し、来年の早い段階での出荷を目指す。[br] 新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ、当面は小売店向けの商品開発を優先する。山形さんは「地域性を強く出したい。女性にも喜ばれるビールになりそうだ」と青写真を描く。[br] 小倉さんは現在、岩手県内の醸造所に通い、酒類免許の取得に向けて研修に励んでいる。「青森県のクラフトビール市場は有望だと思う。地元でチャレンジしがいのある仕事を頑張りたい」と意欲を燃やした。「開設準備室」でビール醸造所の情報収集などに当たる山形琢一さん(左)と小倉翔太さん=10日、八戸市鮫町