「負けない。」ピアニスト豊嶋さん(八戸出身)CD制作 古里の風景から着想、音紡ぐ

八戸の美しい海を見て、創作意欲が沸いたと語る豊嶋裕子さん=4月上旬、八戸市の八戸シーガルビューホテル(豊嶋さん提供)
八戸の美しい海を見て、創作意欲が沸いたと語る豊嶋裕子さん=4月上旬、八戸市の八戸シーガルビューホテル(豊嶋さん提供)
新型コロナウイルスは、北奥羽地方ゆかりのアーティストにも影響を与えている。東京を中心に国内外で活躍する八戸市出身のピアニスト豊嶋裕子さんは3月以降、コンサートをはじめ、すべての仕事が白紙となった。どん底の中で、演奏の喜びを思い出させてくれた.....
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 新型コロナウイルスは、北奥羽地方ゆかりのアーティストにも影響を与えている。東京を中心に国内外で活躍する八戸市出身のピアニスト豊嶋裕子さんは3月以降、コンサートをはじめ、すべての仕事が白紙となった。どん底の中で、演奏の喜びを思い出させてくれたのは古里の海だった。美しい風景に心を揺さぶられ、思うがままに鍵盤をはじいた。止まっていたメロディーが再び流れ始めた。[br] 青森県立八戸東高卒。東京音大に進み、プロとなってからは、ジャンルにこだわらず、さまざまなステージに立った。海外ミュージシャンとも共演し、伴奏者として各地のツアーにも参加。地元への思いも強く、市内の学校で演奏会を開くなど活動の幅を広げてきた。[br] 新型コロナウイルスの脅威を実感したのは、親の介護のために一時帰省していた時だった。コンサートや自身が手掛けるピアノ教室は3密になりやすいため、再開の見通しを立てることができず、収入がゼロになっていた。感染はまたたく間に拡大。いよいよ東京の自宅にも戻れなくなり、途方に暮れた。[br] 「不安なのは自分だけではない。何かできることはないのか」。もやもやとした気持ちを晴らしてくれたのは4月上旬、閉館直前の八戸シーガルビューホテルを訪れた時だった。窓の向こうに広がる美しい海に心を奪われた。ホテル内にあった鍵盤に触れると、次々と新しいメロディーが生まれた。[br] その場でスマートフォンを使って収録した即興曲と景色を動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開すると、ファンらから多くの反響があった。コロナ禍で気落ちしている人へのエールになれば―とCDを制作した。[br] 動画は現在も更新中。種差海岸や蕪島周辺、史跡根城などから着想を得た楽曲を即興で奏でるのが日々の楽しみだ。「私を助けてくれたピアノと八戸の風景で、多くの人の心に希望を与えたい」。自身の心を癒やしてくれた絶景に、古里の風に背中を押されて紡いだ音色を重ね、市民やファンらにエールを送る。八戸の美しい海を見て、創作意欲が沸いたと語る豊嶋裕子さん=4月上旬、八戸市の八戸シーガルビューホテル(豊嶋さん提供)