がん放射線治療で高い効果期待 青森労災病院、7月からVMAT開始

青森労災病院で使用ししている放射線治療装置ライナック。7月からはバーションアップし、より精度の高い治療が可能になる=5月下旬
青森労災病院で使用ししている放射線治療装置ライナック。7月からはバーションアップし、より精度の高い治療が可能になる=5月下旬
青森労災病院(玉澤直樹院長)は7月から、がんの放射線治療で従来よりも短時間で高い治療効果を発揮する「回転型強度変調放射線治療」(VMAT)を開始する。腫瘍や臓器の形状に応じて、放射線の照射範囲や強度を変化させることができるほか、治療で縮小し.....
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 青森労災病院(玉澤直樹院長)は7月から、がんの放射線治療で従来よりも短時間で高い治療効果を発揮する「回転型強度変調放射線治療」(VMAT)を開始する。腫瘍や臓器の形状に応じて、放射線の照射範囲や強度を変化させることができるほか、治療で縮小していく腫瘍や体重の増減など、刻一刻と変わる患者の状態に応じてリアルタイムに照射部分を絞り込めるのが特長。全国的に臨床導入が始まったばかりで、青森県内では先行事例となる。より精度の高い治療を実現できることから、地域のがん治療の発展が期待される。[br] 同院副院長で放射線治療科部長の真里谷靖医師によると、放射線治療において、腫瘍と、腫瘍の周辺にある臓器(リスク臓器)が近接している場合、腫瘍に十分な照射をしながら、リスク臓器への照射は最小限に抑える必要がある。しかし、従来の放射線治療では、リスク臓器を含む正常な臓器への影響は決して少なくなかったという。[br] 一方で、新しい治療は腫瘍や臓器の形状に応じて、多方向から照射範囲や強度を変化させながら照射する「強度変調」という技術を用いることで、腫瘍に対して線量を均等に投与した上で、リスク臓器への影響も減らすことができる。[br] 薬物や免疫療法との併用もしやすくなり、高い治療効果が期待できると共に副作用も軽減。ピンポイントで治療できるため、体への負担も少なく、手術が難しい高齢の患者も無理なく治療を進められる。[br] さらに線量測定が可能な最新型の「治療用X線イメージング装置」を併用することにより、腫瘍の大きさや体重の増減、患者の体形の変化に応じてリアルタイムで放射線治療プランを修整。腫瘍に最適に照射できるため、より強力にがんの増殖や浸潤を抑制できるという。[br] 真里谷医師は「八戸で先進的な放射線治療ができるようになる。この治療方法を広く地域の方に知ってもらいたい」と強調。「医療関係者にも放射線治療に目を向けてもらうきっかけになれば。地域の病院と連携して患者さんにとって最適な医療を提供していきたい」と展望を語る。青森労災病院で使用ししている放射線治療装置ライナック。7月からはバーションアップし、より精度の高い治療が可能になる=5月下旬