「オンラインで面会」高齢者施設で取り組み広がる/青森県南地方

オンライン面会による母との会話に表情を和ませる松本博さん=5月下旬、八戸市の「生協たむかいの家」
オンライン面会による母との会話に表情を和ませる松本博さん=5月下旬、八戸市の「生協たむかいの家」
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、青森県南地方の高齢者施設では面会制限により、入居者と家族が会えない状況が続く。そんな中、インターネットのオンラインサービスを使った新しい面会方法を取り入れる施設が増えている。パソコンなどの画面越しに互いの.....
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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、青森県南地方の高齢者施設では面会制限により、入居者と家族が会えない状況が続く。そんな中、インターネットのオンラインサービスを使った新しい面会方法を取り入れる施設が増えている。パソコンなどの画面越しに互いの顔を見ながら会話できるのが特徴で、感染リスクの回避はもちろん、首都圏など遠方で暮らす家族との面会も可能になる。直接会えない今だからこそ注目されるオンライン面会。家族の絆を確かめる新たな手段として活用が進む。[br] 「今度は一緒におすしでも食べに行きたいねぇ」。5月下旬、八戸市田向の住宅型有料老人ホーム「生協たむかいの家」に入居する松本ヨシヱさん(92)は、施設が用意したタブレット端末の画面を通して、面会に来た息子の博さん(66)=同市在住=にうれしそうに話しかけていた。[br] 施設の応接スペースで無料通信アプリのLINE(ライン)の通話機能を使い、会話を楽しんだ博さんは「顔を見て話ができるのはありがたい。やっぱり安心だね」と目尻を下げた。[br] 同施設では3月ごろから面会を制限。家族には職員が撮影した写真を見せるなどして近況を報告していたが、面会制限が長引くことから、スタッフが安全に面会できる方法を模索。5月にオンライン面会を開始した。[br] 約50日ぶりに“再会”できた利用者や家族の喜びはひとしおだ。同施設の担当者は「家族の顔を見た途端に笑顔になる利用者さんも多い。職員が思っている以上に喜んでもらえている」と実感を込めた。[br] 感染防止対策として導入したオンライン面会だが、首都圏など遠方の家族との面会も可能にするなど、新たなサービス提供にもつながっている。担当者は「不安を感じることなく過ごしてもらえるように今後も継続したい」と「コロナ後」も見据えた。[br] 七戸町寒水の特別養護老人ホーム「美土里荘」では、スマートフォンなどでも利用できるオンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を活用した面会を5月下旬から始めた。これまでに入居者5人ほどが利用。当初は慣れない画面越しの対面がうまくいくか気をもんだが、家族との何気ない日常会話にふける、入居者のリラックスした姿が、心配を吹き飛ばした。[br] 同施設ではインフルエンザ予防のため、昨年10月から面会を休止。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大によって、面会制限が半年以上続いた。「いつになったら家族と会えるのか」とため息をつく入居者も多かったという。[br] どうにかしていつも通りの生活に近づけたい―。心を痛めたスタッフがたどり着いたのが、オンライン面会だ。ズームの使い方などを記載した案内を作成し、家族に配布するなどして準備を進めた。導入後の入居者の反応に、間近で触れた同施設の盛田一栄副園長は「顔を見て声を聞けた安心感は大きい」と手応えを語った。[br] 一方、課題はより手軽に利用できるようにすること。スマートフォンになじみがなく、アプリのダウンロードやズームの操作方法が分からないという家族も少なくない。今後は施設でパソコンを用意し、家族に施設の応接室などに来てもらい、オンライン面会をする方法も検討する。[br] 盛田副園長は「特養の役割は、日常を提供すること。『コロナで、できなくなった』というのではなく、今までの日常に近づけるために手を尽くしたい」と力を込めた。オンライン面会による母との会話に表情を和ませる松本博さん=5月下旬、八戸市の「生協たむかいの家」