定休日のシャッターに貼り紙 メッセージ発し、市民ら和ます/三沢・居酒屋店主の土屋さん(東京出身)

定休日に下ろすシャッターにメッセージを貼り、見る人を和ませている土屋秀司さん=23日、三沢市 
定休日に下ろすシャッターにメッセージを貼り、見る人を和ませている土屋秀司さん=23日、三沢市 
三沢市中央町2丁目で居酒屋「酒処(さけどころ) 黒部ゑ(くろべえ)」を営む土屋秀司さん(39)は、2018年8月の開店以降、主に毎週水曜の定休日に、店舗のシャッターに個性的なメッセージを書いた紙を貼っている。1年半余りがたち、シャッターは今.....
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 三沢市中央町2丁目で居酒屋「酒処(さけどころ) 黒部ゑ(くろべえ)」を営む土屋秀司さん(39)は、2018年8月の開店以降、主に毎週水曜の定休日に、店舗のシャッターに個性的なメッセージを書いた紙を貼っている。1年半余りがたち、シャッターは今や客と心を通わせ、店の前を通る市民らを和ませる“掲示板”に。コロナ禍の収束が見通せず、不安が拭えない中だが、「見てくれた人に笑顔になってもらい、勇気を出してもらえたら」と元気と明るさを発信する。[br] 東京都出身の土屋さんはIターンで青森県に移住。「自分の店を持ちたい」との目標を実現させるため、都内のIT企業を退職後、飲食店で働くなどしたほか、小笠原諸島やブラジルで暮らし、多くの人と関わりながら経験を積んだ。[br] メッセージの掲示は、定休日でも何かを発信すれば来店してくれるきっかけ、店内での話題づくりになるだろう、との考えから。お世話になった人を通じて知った都内の居酒屋が、ユーモアあふれる休店理由を書いた貼り紙を出していたのが手本で、自分も店を持ったらやってみたい、との思いを抱いていた。[br] 掲示の大半は「~のため、休みます」との内容。紹介した休む理由は全て実際に行っているという。「八甲田の雪の回廊を通りながら(中略)お酒を仕入れに弘前に行く」(19年4月)との報告、「アイスバーンになる前に、また最近乗っていないので八戸までママチャリで行こう!」(同11月)という意気込みを明るくつづる。エープリルフールのネタなど、楽しんでもらうためだけの一文を貼り出すことも。[br] 「常連客との話の種になっているし、新規の人にも『貼り紙出ているよね』と話し掛けてもらえる」と反応を実感する。[br] 3月以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響から来店客数が減少。不安を抱きつつ店に立ち続けていたが、「帰宅後にうがい手洗い忘れずに」「One for all,All for one.(一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために)」と、感染防止への注意を喚起し、勇気を奮い起こすメッセージを発信した。[br] 大型連休中は、青森県による条件に沿う形で営業自粛をしながら店を開けた。生活のためではあるが、単身赴任者ら家の外で食事したい人、注文減などで同じく苦境に立つ取引業者のことを考えての判断だった。[br] 連休を終え初めて貼り出した一文は「俺たちの戦いはこれからだ!」。見えない敵との戦いは長期化が見込まれるが、前向きに活動したい―との思いを込めた。「『コロナより心』。心が強ければ立ち向かえると信じている」と強調する。[br] 縁あって店を開いた三沢の夜の飲食街は、緊急事態宣言が解かれたとは言え、まだ客足の回復は鈍い。「一日も早く、人々でにぎわう場所に戻ってほしい」。小さな行動だが、土屋さんはこれからも、見る人の気持ちを和ませられるようなメッセージを発し続ける。定休日に下ろすシャッターにメッセージを貼り、見る人を和ませている土屋秀司さん=23日、三沢市