【八戸港卸売一本化】八戸魚市場重い負担 漁協職員移籍や市場経費倍増

八戸市第3魚市場での競り=4月下旬
八戸市第3魚市場での競り=4月下旬
八戸港の水産物卸売業務の一本化で、八戸みなと漁協の撤退に伴い、単独で業務を手掛ける株式会社八戸魚市場が、負担増という課題に直面している。漁協からの人員受け入れのほか、これまで漁協と折半してきた市場経費は倍増する見通し。年明けに供用開始予定の.....
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 八戸港の水産物卸売業務の一本化で、八戸みなと漁協の撤退に伴い、単独で業務を手掛ける株式会社八戸魚市場が、負担増という課題に直面している。漁協からの人員受け入れのほか、これまで漁協と折半してきた市場経費は倍増する見通し。年明けに供用開始予定の荷さばき施設D棟も経費増の不安材料だ。対称的に収入源の水揚げは年々落ち込み、魚市場関係者の危機感は強い。[br] 魚市場によると、漁協の人員受け入れは市場部19人のうち、当初7、8人程度を想定。ただ、その後の調整で人数が若干増える見込みだ。[br] 電気料や水道料、清掃料といった市場経費は市が半分を負担し、残りを魚市場と漁協が折半してきた。2019年度は市が約2千万円、魚市場と漁協で約1千万円ずつになるとみられる。[br] 漁協の撤退で魚市場の負担が倍増すれば、経営の足かせとなるのは必至。魚市場側は市に配慮を求めているが、軽減されるかどうかは不透明だ。[br] 経費で最も大きいのが電気料で、全体の4割以上を占める。特に、衛生管理の高度化に伴う閉鎖型の施設は旧施設より消費電力がかさむという。来年1月5日には小中野地区に建設中の荷さばき施設D棟が稼働する予定だが、魚市場関係者は「D棟の経費がどうなるか見通せない。不確定要素だ」と吐露する。[br] 負担ではほかに、水揚げに応じた市場使用料もあり、19年度は魚市場約3100万円、漁協約1100万円の見込み。今後はすべて魚市場が支払うことになる。[br] 卸売業務の一本化について、魚市場の川村嘉朗社長は「赤字同士が一緒になる。決して明るい話ではない」と厳しい見方を崩さない。同社によると、市場卸売部門の決算は18年度がわずか208万円の黒字で、19年度は2700万円程度の赤字に転落する見通しだ。[br] 問題の背景には八戸港の水揚げ不振が横たわる。“ハマ”をめぐる環境が厳しさを増す中、一本化の流れは不可避といえる。ただ、魚市場と漁協の卸売業務の取扱高はおおむね7対3で推移しており、「収入は3割増だが負担は5割増。割に合わないのでは」との声も漏れる。[br] 漁協の業務廃止は来月20日の予定。魚市場によると、転籍する職員については、同月末までは漁協に籍を置きながら関連業務をこなし、7月1日付で魚市場に移るという。八戸市第3魚市場での競り=4月下旬