新型コロナウイルス感染拡大の影響で苦境に立つ花業界を盛り上げようと、生産者や小売団体など9団体で構成する「日本花き振興協議会」が提唱した“母の月”。「母の日に限らず、5月の1カ月間にわたって花を贈ろう」と呼び掛けるキャンペーンだが、周知期間が短かったこともあり、一般消費者への浸透はいまひとつだ。八戸市内の生花店からは、一部で「母の日以降も注文があった」との声が聞かれたが、既に6月の父の日に向けた商戦が始まっており、効果は限定的に終わりそうだ。[br] 母の月は、例年、母の日当日に配送が集中したり、店頭が混み合ったりするため、ピークを分散して密集を避け、イベント中止で需要が減った花きの購入につなげる狙いがあった。[br] 八戸市朔日町のフラワーショップ花誠(山田豊吉社長)では、今年も母の日の前日と当日にアレンジメントや花束の注文が集中。スタッフが徹夜で商品づくりに取り掛かった。例年、母の日以後はほとんど売れないが、今年は数が少ないものの、3日ほど注文が続いたという。[br] 山田社長は「外出自粛で会えない分、花を贈ろうとする人が増えたようだ。母の月効果も少しはあったかもしれない」と指摘。ただ、歓送迎会などの書き入れ時に失った売り上げを補うには至らず、「今年ほど厳しい年はない。早く収束して経済が回ってほしい」と願っていた。[br] 消費者への浸透は道半ばのようだ。毎年、母親に花とプレゼントを贈るという市内の女性(40)は「母の月を知らなかった。何年か続けば違和感がなくなるかもしれないが、今はやはり贈るなら母の日がしっくりくる」と話した。[br] 同協議会は取材に対し、「来年度以降の実施予定は未定」とした上で、「SNS上では歓迎する反応もあり、コロナ禍でのプロモーションとしてはフィットしたと思う。一方で4月末からの宣伝となり、消費者の方々になかなか伝わらなかったかも」と分析した。