新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた市独自の緊急経済対策により、八戸市の「財政調整基金」が大きく減少している。2019年度末に28億2千万円だった基金残高は、予算が専決処分される26日時点で3億4千万円となる見込み。市側は仮に別の緊急事態が生じた場合でも対応可能―との認識を示すが、年間約1千億円前後の財政規模や人口などを考慮すれば決して十分ではない状況。再び積み増しできるかどうかは不透明で、残高の目減りは、今後の財政運営上の不安材料となりそうだ。[br] 財政調整基金は、年間を通して財源不足を補ったり、災害発生時など急な支出に活用したりする。市は毎年度、取り崩しや積み増しを行い一定の水準を確保した上で、有事に備えてきた。[br] 近年の残高は、17年度末33億4千万円、18年度末26億9千万円、19年度末28億2千万円で推移。[br] ただ、市は20年度当初予算を編成する際、6億円を取り崩したほか、その後、新型コロナの第1弾支援策として6億4千万円、追加支援策などとして12億4千万円を崩すこととし、基金の残りは26日で3億4千万円になる。 仮に地震や台風など自然災害が発生し、復旧など早期に対応に当たる場合には、基金が底を突く可能性もある。[br] 今後の基金の見通しについて小林市長は「数字上の見た目は少ないかもしれない」としつつ、今後、国の臨時交付金や財源措置が見込まれるほか、年度末には新たに積み増す見通しを示し、財政運営上の問題はないとの認識を強調する。