昨年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」。地域経済の調査研究を行う「あおもり創生パートナーズ」(青森市)の調査によると、3つの制度の認知度は9割と高いものの、それぞれで対応を完了した企業は5~7割台にとどまった。同パートナーズの松田英嗣地域デザイン部長は「まだ導入は途上。企業が働き手から選ばれるには避けては通れない改革で、長期的な視点での取り組みが必要だ」と指摘する。[br] 調査は今年1月、県内の中小企業324社を対象に実施し、約7割の229社が回答。働き方改革のうち、有給休暇の取得義務化(中小企業は2019年4月施行)、時間外労働の上限規制(同20年4月施行)、同一労働同一賃金(同21年4月施行)の3項目について対応を尋ねた。[br] 95・2%が認知していると答えた「有給の取得義務化」は21・4%が対応未了。特に、運輸業で31・3%、建設業では27・3%が未了と割合が高く、人手不足が深刻な業種で導入が遅れている。[br] 「時間外労働の上限規制」は、92・6%が認知しているものの、各業種とも30%程度が未了。「同一労働同一賃金」は、認知度が83・8%だが、大半の業種で40%以上が未対応だった。[br] 働き方改革関連法の対応の課題について複数回答で尋ねると、「人手不足」が56・8%を占め、続いて「コストの増加」が48・9%、「労働時間の減少」が43・2%と上位に並んだ。[br] 「課題はない」としたのは5・7%にとどまり、多くの企業が実施に何らかのハードルを感じているとみられる。[br] 松田部長は今回の調査に加え、青森県の毎月勤労統計調査を基に、「17年をピークに労働時間は減少傾向にある。制度の完全導入にはハードルはあるものの、意識は変わっている」と指摘。「課題の回答を見ると、生産性の向上が制度の導入に必須条件となっている」と分析する。[br] 生産性向上のために▽新技術導入による省力化▽自社ビジネスモデルの再構築▽組織力の強化や企業風土の刷新―の3点を提案。「新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークや時差出勤の導入など働き方に影響が出ている。従来の働き方を見直すきっかけになるかもしれない」と述べた。