【夏の甲子園中止】球児落胆、監督は気遣い「泣いてもいい」/青森県内高校

練習後、仲井宗基監督(左)の話を聞く、八学光星高硬式野球部の部員ら=20日、八戸市
練習後、仲井宗基監督(左)の話を聞く、八学光星高硬式野球部の部員ら=20日、八戸市
球児の夢が、はかなく散った。今夏の甲子園大会中止が決まった20日、聖地を夢見て練習に励んできた青森県内高校球児の元にも信じたくない知らせが届いた。指導者は「選手を思うと言葉がない」と落胆。球児は「気持ちを切り替え、次の目標に向かいたい」と気.....
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 球児の夢が、はかなく散った。今夏の甲子園大会中止が決まった20日、聖地を夢見て練習に励んできた青森県内高校球児の元にも信じたくない知らせが届いた。指導者は「選手を思うと言葉がない」と落胆。球児は「気持ちを切り替え、次の目標に向かいたい」と気丈に振る舞うなど、複雑な思いが交錯した。普段は球音と元気な声が響く練習場が、この日はやり場のない悔しさと悲しみで静まり返った。[br] 「きょう一日は泣いてもええわ」。昨夏の甲子園8強の強豪・八学光星高(八戸市)では、同日の練習後、仲井宗基監督(50)が部員に語りかけた。「下を向いていても仕方がない。新しい目標を見つけるしかない。これから、お前らの真価が問われるぞ」。指揮官の真剣な言葉に、涙をためる球児もいた。[br] 100人を超える部員の多くが、「甲子園で優勝」の夢をかなえるために親元を離れ、厳しい練習に励んできた。仲井監督は「甲子園があるから苦しい練習に耐えてこられた。選手の気持ちを考えると『しょうがない、切り替えよう』では済まない」と表情をゆがめる。「野球の悔しさは野球でしか晴らすことができないと日々伝えてきた。複雑な気持ちだが、選手たちは必ず立ち直り、新しい道に向かって進んでくれるはずだ」と期待を寄せた。[br] 「甲子園に出場し、優勝することが自分の使命だと思ってきた」と話すのは、東京出身の中澤英明主将(3年)。一冬越して打力が向上し、チーム状態も右肩上がりだった。それだけに、春の大会に続いて勝負の夏も中止となり「分かってはいたが、ショックです」と率直な思いを吐露した。代替大会開催は不透明な状況だが「もし開催されたら、チームが一つになって頑張る。甲子園から気持ちを切り替えたい」と気丈に振る舞った。[br] 県立八戸高では、練習後のミーティングで品田郁夫監督(66)が夏の甲子園大会中止を伝えたほか、日本高野連の八田英治会長名のメッセージが配布された。福村亨太りょうた主将は「仲間と取り組んできた3年間は無駄にならない。最後まで仲間と共に頑張っていく」ときっぱり。マネジャー樫﨑茜さん(3年)も「みんなが滞りなく野球をできるよう、最後までサポートしたい」と話した。[br] 品田監督は「言葉を紡いでいるけれども、何も考えられない状況だと思う」とおもんぱかる。「今年はユニホームを一度も着ていない。大人たちが、子どもたちに(練習の成果を発揮する)何らかの場をつくらなければいけない」と思いを巡らせた。[br] 県立八戸西高は21日に指導者らと3年生でミーティングを予定。小川貴史監督(36)は「常に最悪の事態を想定してきたが、いざ決まると、生徒たちと同じで悔しい」と無念さをにじませた。休校中もインターネットを活用し、工夫して練習に取り組んできたことを踏まえ「しっかりコミュニケーションを取り、これまで通り部員と向き合っていきたい」と強調した。練習後、仲井宗基監督(左)の話を聞く、八学光星高硬式野球部の部員ら=20日、八戸市