【緊急事態宣言解除】反転攻勢見据える事業者 長期化懸念で不安も/北奥羽地方

15日の営業再開に備え、受付カウンターに飛沫感染防止シートを取り付けるフォーラム八戸の晴山努支配人=14日、八戸市十三日町
15日の営業再開に備え、受付カウンターに飛沫感染防止シートを取り付けるフォーラム八戸の晴山努支配人=14日、八戸市十三日町
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、青森、岩手両県に発令されていた緊急事態宣言が14日、約1カ月ぶりに解除された。食ビジネスが盛んな北奥羽地方では、外出自粛によって飲食業者が苦境に立たされており、「徐々に経済を回していくべき」と反転攻勢を見.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、青森、岩手両県に発令されていた緊急事態宣言が14日、約1カ月ぶりに解除された。食ビジネスが盛んな北奥羽地方では、外出自粛によって飲食業者が苦境に立たされており、「徐々に経済を回していくべき」と反転攻勢を見据えた声も上がる。ただ、本格的な経済活動の回復は難しいのが実情で、観光客が多い施設は影響の長期化を念頭に置く。「営業再開の葛藤はある」「まだまだ厳しい」。コロナ危機に直面する各業界は不安を抱えつつ、新たな一歩を踏み出そうと模索を続けている。[br] コロナ禍が深刻化する飲食業界。八戸市内で「やま文」「浜膳」「魚や吟翠」「兆蘭」の4店舗を経営する村本水産は、従業員の安全も考慮して全ての店舗を休業していたが、13日までに全店の営業を再開した。[br] 村本信一社長は「八戸をはじめ、東北地方は感染が落ち着きつつある。緊急事態宣言も解除されたため、地方都市から少しずつでも経済を回していくことが必要ではないか」と訴える。[br] 外食産業の冷え込みにより、食材供給業者や1次産業の生産者にも影響は広がる。村本社長は「飲食店が元気にならないと、関係する業界も打撃を受ける。感染予防に努めつつ、夜の営業も小規模な会食から元に戻したい」と強調。ただ、現状では客足の“V字回復”は望めず、「テークアウトの販売にも力を入れ、外食事業と両立させて取り組みたい」との考えを示す。[br] 同市十三日町のチーノはちのへ内にある映画館「フォーラム八戸」は、4月18日から続いた休業を解き、15日から営業を再開する。晴山努支配人は「営業をしていいのか、葛藤はある。ただ、映画は心の栄養剤。再び劇場で映画を楽しんでもらいたい」と話す。[br] 当面は時短営業とし、定期的な除菌や清掃、座席の間隔確保といった感染予防対策を講じる。受付カウンターには飛沫感染防止シートを取り付けた。晴山支配人は「みんなが安心して映画を楽しめる環境を作りたい」との思いを強くする。[br] 一方、観光客が多い施設は、客足が回復するまでに相当の時間を要すると見込まれる。久慈市の久慈琥珀博物館は、ティラノサウルス類の歯の化石発見で来館者が殺到した昨年のゴールデンウイーク(GW)とは一転、閑散とした状態が続く。新田久男館長は「少しずつ人の往来は増えるとは思うが、元通りになるには1年以上かかるだろう」と冷静に受け止める。[br] GW中に臨時休業した八戸市の八食センターは、いまだ来場者数が例年の半分程度。事務局の担当者は「緊急事態宣言の解除を受け、北東北3県から日帰りで訪れる人が戻ってきてくれれば」とし、今週末の客足の動向を注視している。[br] 感染者が相次いだ十和田市の経済界は、引き続き警戒を強める。十和田商工会議所の櫻田一雅専務理事は「解除になったとはいえ、仕事が元に戻るとは限らない。繁華街の客足が一気に戻るのは難しく、各業界の経済回復は当分厳しいだろう」との認識を示した。15日の営業再開に備え、受付カウンターに飛沫感染防止シートを取り付けるフォーラム八戸の晴山努支配人=14日、八戸市十三日町